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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
 
俳優業に長く携わる中で、仕事への取り組み方にも変化があったという中村さん。詳しくうかがうと、中村さんの仕事に対する価値観が垣間見えた。
 

良縁に支えられて進んできた

 
私はもともと、自分の意見を人に伝えるのが苦手なんですよ。作品について話していて、自分と意見が違うなと思っても「わかりました」と言ってしまうタイプです(笑)。ただ、年齢を重ねて若い世代の方と共演することも多くなる中で、それではいけないなと思うようになりまして。撮影現場に入る前に、監督やプロデューサーの方々と意見をすり合わせることも準備の一つだと認識するようになりました。
 
意見を伝えることは今も苦手ではありますが、しっかりと話すように努力しています。実際に話してみると、相手の方の考えがより伝わって、自分の解釈が違ったのだと納得することもあります。今は、そうした齟齬を解消するのも仕事の責任の一つだと考えています。
 
そういった責任の感じ方や取り組み方には変化がありますが、もともと「仕事だからやり遂げなければいけない」という思いは持っていました。今も昔も、お芝居が楽しい気持ちが2割、つらいが8割くらいありますね(笑)。でも、どんな仕事でもそれくらいの割合だと思うんです。仕事に対してネガティブな考えを持ってしまうときは、とにかくプライベートの時間を楽しむこと。私の場合は、おいしいご飯やお酒を楽しんだり、サウナやお風呂でリフレッシュしたりしています。自分にご褒美をあげることが大切ですね。
 
もちろん、俳優業には仕事というだけではないきらめきを感じています。だからこそ、これまで続けてこられたと思うんです。私は学生の頃から勉強も運動も得意ではなくて、やりたいことも特にありませんでした。マラソン大会では、ほとんど歩いてしまうほどでしたね(笑)。その中で俳優業に出会い、こんなにかっこいい仕事があるのかと感じました。私の中で唯一、「ほかの人より頑張ろう」「ほかの人よりもたくさん勉強しよう」と必死になれたものなんです。
 
そう思えた一番の要因は、人に恵まれたことです。井筒和幸監督や是枝裕和監督、そのほか多くの先輩方や素敵なプロデューサーさんたちに出会うことができました。そういったプロフェッショナルな方々の一員となって、作品づくりに携われることが嬉しいんです。多くの縁に支えられてここまで来られましたし、それは変わらないと思います。今後も良き出会いを求めながら進んでいきたいですね。
 
 
(インタビュー・文 中野夢菜/写真 Nori)
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中村ゆり(なかむら ゆり)
1982年生まれ 大阪府出身
 
2003年女優デビュー。映画『パッチギ! LOVE&PEACE』(07)で全国映連賞女優賞、おおさかシネマフェスティバル新人賞、『市子』(23)で高崎映画祭最優秀助演俳優賞を受賞。映画『そして父になる』、『ディアーディアー』、『Fukusima 50』、『窓辺にて』、『母性』、『嘘八百 なにわ夢の陣』、『仕掛人・藤枝梅安』、『あまろっく』など数多くの話題作に出演するほか、テレビドラマや舞台などで幅広く活躍。現在放送中の「私の幸福(しあわせ)時間」(テレビ朝日系)で番組ナレーターを務めている。5月10日から公開される、劇場版『鬼平犯科帳 血闘』では、おまさ役で出演。

Instagram
https://www.instagram.com/yurinakamurawoori/

劇場版『鬼平犯科帳 血闘』
https://onihei-hankacho.com/movie/
 
 
(取材:2024年3月)