サッカーが好きだからこそ
多くの人に魅力を伝えたい
2002年に、日本プロサッカーのJリーグのチーム・浦和レッドダイヤモンズを引退し、18年が経った今でも多くのサポーターから「ミスター・レッズ」の愛称で親しまれている、福田正博さん。現在はサッカー解説者として活躍している。インタビューで仕事に対するモチベーションを聞くと「サッカーが好きということ以外にない」と言い切った福田さんに、現役時代の苦労など、これまでの経験をたっぷりとうかがった。
自分の言葉で伝えることが大切
現役の頃は、引退後の仕事についてはあまり考えていませんでした。ただ、漠然とサッカー関係の仕事に就きたいとは思っていましたね。僕は一度も移籍することなく、浦和レッズの選手としてプレーしていました。だから引退したときに、外の世界からサッカーを見てみようと思い、メディアの仕事に挑戦したんです。
小さな頃からずっとサッカーに取り組んでいたので、引退後は初めて社会に出るような感覚でした。サッカーに限らず、スポーツの世界は自分が実力をつければいろんな状況を打破できるんです。ただ、その世界の外に出ると、物事を動かすには周囲の状況をしっかりと把握して、さまざまな手順を踏まないといけないと知りました。状況を鑑みてコメントをしないといけない世界で、より多角的な視野が必要になったんです。
ただ、未だに自分の視野が広がったのか自信はありません。会社員として働いている同年代の方と比べたらまだまだですからね。今、僕は53歳です。この歳にして、ようやく会社員としてのスタートラインくらいまでは来れたのかなと感じています。
僕が幸運だったのは、2004年にテレビ朝日にて放送がスタートした「報道ステーション」の一員になれたことです。サッカーのコメンテーターとして起用していただきました。テレビ業界について、本当に多くのことを学べる場でしたね。そのときに教えていただいて、今でも大切にしているのが「とにかく自分の言葉で伝える」ということ。
テレビでコメントをしていると、丁寧に伝えたいという気持ちから、普段使っていない言葉を使いがちでした。例えば、普段は「僕」と言っているのに、「わたくしたち」と言ってみたり。そんなときに、「それじゃ福田君の気持ちは伝わらない」と指摘してくれた方がいました。「自分の言葉で、ちゃんと喋れば視聴者に伝わるから」と。その教えは、今でも大切にしています。