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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
 
23年間で6球団に所属し、活躍してきた中村さん。「やると決めたら納得がいくまで練習を重ね、プレーやフォームを研究してきた」という。そうして長い野球生活の中で築き上げた独自の手法を世のために活かしたいと、2015年5月、兵庫県西宮市にスタジオ「N’s Method」をオープン。現在力を入れている、一般に向けたトレーニングと野球指導についてうかがった。
 
 

プロ野球選手への夢と、健康を応援

 
スタジオでは、一般の方やプロ野球選手を目指す子どもたちに向けて、トレーニングと野球指導をしています。トレーニングでは特に、私が実践していた呼吸法を教えているんです。実は呼吸を正しく行うだけで姿勢が良くなり、野球ならボールがより遠くに飛ぶようになります。野球だけでなくゴルフも上達するし、ランニングにも耐久力の面で大きな違いが出る。さらにはダイエットにも有効で、いつも通りの食事をしても、この呼吸法と運動だけで驚くほど変化が出ます。うちは食事制限をしないので、甘い食べ物が好きな女性もストレスなく痩せられると思いますね。
 
それからスタジオでは体幹トレーニングも教えています。僕自身、20年くらい前から筋力増量を目的としたウェイトトレーニングをしない代わりに、インナーマッスルを鍛える体幹トレーニングをしていましてね。それだけで十分にボールは飛ばせるので、子どもたちには成長を妨げる恐れのあるウェイトより、体幹トレーニングを勧めているんです。
 
野球指導では、小学生から中学生の子どもたちを教えています。その際に重視しているのが、彼らが心から野球を楽しめているかどうか。「野球は楽しい?」と聞いて、毎日「楽しい!」と答える子はやっぱり目の色が違います。あと、喜怒哀楽の激しい子も伸びますね。そういう子はおだてると過信してしまうので、あえて褒めずにダメ出しをする。そうすると、悔しい思いをバネにすごいスイングをするんです。でも基本的には、技術の追求よりも、まずは子どもたちが野球を楽しめるような指導を心がけています。
 
今後もこのN’s Methodを通して、一般の方々には正しい健康法を伝えると共に、子どもたちには野球の楽しさを伝えることで、多くのプロ野球選手を輩出していきたいですね。そのためにも“生涯現役”の精神で、命ある限り、一人ひとりに熱い指導をしていきたいと思っています。
 
 
<インタビュー・文 青柳裕子/写真Nori/スタイリスト 鍋田由美・榊麻帆/
ヘアメイク 風間裕子(マクスタア)>
 
 
 
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中村紀洋(なかむら のりひろ)
1973年生まれ 大阪府出身

高校2年生で甲子園に初出場。1991年にはドラフト4位で近鉄バファローズに入団する。3年目から一軍に定着し、2000年にはシドニーオリンピックに日本代表選手として出場。シーズン中は本塁打王と打点王の2冠を獲得し、翌年には近鉄のパ・リーグ優勝に貢献。2004年にはアテネオリンピックにも出場した。2005年にはロサンゼルス・ドジャースと契約する形でメジャーに挑戦。その後はオリックスバファローズを経て中日ドラゴンズに入団、2007年には53年ぶりの日本シリーズ優勝に貢献し、MVPを獲得した。以降、東北楽天ゴールデンイーグルスを経て、2013年の横浜DeNAベイスターズ在籍時に日本通算2000本安打を達成。3塁手としても7度にわたり、三井ゴールデン・グラブ賞を受賞した。自由契約選手となってからは“生涯現役”を宣言、2015年にスタジオ「N’s Method」を構え、独自のトレーニングや野球指導を行っている。

一般社団法人N’s Method
http://www.n-method.jp
フェイスブック
https://www.facebook.com/中村紀洋-385738221506511
 
 
 
(取材:2016年7月)