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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

無農薬野菜を通じて
農業の楽しさを伝えたい

 

自家採種した無農薬の伝統野菜だけを栽培

 
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亀山 高齢化が進み担い手が減る一方の農業。その中で増成代表は救世主のような存在ですよ。現在は、どのような野菜を栽培しているのでしょう。
 
増成 当園ではインゲンやニンジン、トマト、ズッキーニなど10品目を育てています。一番の特徴は、固定種や在来種と呼ばれる伝統野菜を栽培していることなんですよ。現代は、改良を重ねたF1種で栽培する農業が中心です。遺伝的に異なる性質を持つ親をかけあわせたF1種の野菜には、見栄えがいい、大量生産に向く、栽培期間が短縮できるなど多くのメリットがあります。スーパーでは大きさが均一で見た目もきれいな野菜しか売れないので、世の中に出回っている野菜の99%がF1種の品種になっているんです。
 
亀山 ただ、一方で大量生産品ならではデメリットもあるのでしょうね。
 
増成 おっしゃるとおりです。何よりもF1種では自家採種ができません。せっかく丹精を込めて育てた野菜から種を採ることができず、翌年は再び種苗会社から種を買わなければならないんですよ。自分で育てた野菜が一代限りというのはとても寂しいです。そこで、当園では自家採種した伝統野菜だけを栽培しています。土壌管理から出荷まで一貫生産体制を構築し、お客様に完全無農薬の安全でおいしい野菜をお届けしていますよ。
 
亀山 同じ場所で何世代も育てた野菜は、F1種とはどのような違いがあるのでしょう。
 
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増成 自家採種で栽培した野菜は、その土地の環境を学習し毎年どんどん進化していきます。野菜がもともと持っている味や栄養をしっかり蓄えることができるようになるんですよ。当園の野菜は地元のスーパーに卸しておりまして、直売所や地域の朝市で販売しているほか、ネット通販にも対応しています。ぜひ、お手に取って本物の野菜のおいしさを体感していただきたいですね!
 
亀山 お話をうかがっているだけで、増成代表が心の底から農業が好きだとよくわかりますよ。でも、自然を相手にするお仕事は一筋縄ではいかないこともあるでしょうね。
 
増成 もちろんあります。近年、朝は晴れていたのに夕方になると土砂降りになることも多く、天候との戦いが続いておりましてね。でも、あまり手間をかけすぎると野菜は人間を頼るようになるんですよ。ですから、私は虎倉の土・水・太陽という自然の恵みをそのまま生かした農業を実践し、可能な限り手を加えず野菜本来の力を引き出しています。