B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

技術と配慮の注文家具で
顧客に“絶景”を提供

 

顧客のイメージを明確な形で図面にする

 
glay-s1top.jpg
吉井 それでも、見よう見まねで技術を身に付けることができたのでしょうね。
 
井手 ええ、中学生になると仕事を手伝い小遣いをもらえるようになりました。ですから、家具屋という職業に就くのは私にとって当たり前のことだったんです。社会に出た私は学校や公共施設のロッカー、黒板、用具入れなどを施工する会社に勤務し、図面を書いたりお客様と打ち合わせをしたり、現場監督を務めたりするようになりまして。デパートの内装も手がけるなど20年近く技術を磨き、47歳となった2015年に一人で弊社を立ち上げました。
 
吉井 小学生の頃からものづくり一筋で技術を学ばれたわけですね。新たな旅立ちは順調だったのでしょうか。
 
井手 とても順風満帆とは言えませんでした。協力会社の職人さんに「やってみなよ」と励まされて独立したのですが、やはり、それまでの仕事は会社という後ろ盾があって成り立っていたと痛感することばかりだったんです。特に、ゼネコンさんからの仕事はまったく受注することができなかったですね。
 
吉井 どのようにその状況を乗り越えられたのか気になります!
 
井手 私は、他社の職人が家具を取り付ける現場で解体作業やフェンスの設置をするなど、どんな仕事も前向きに挑戦しました。同時に、建設業の許可を取るなど少しずつ体制を整え弊社の存在をアピールしてきたんです。そうして、急ぎの仕事ができなくなった同業者の後を任されたりするうちに信頼と信用が高まっていきました。
 
吉井 井手社長は、子どもの頃から培ってきた技術をお持ちです。さまざまな困難に見舞われても、誠心誠意仕事に取り組んでおられた結果、大勢のお客様に支持されるようになったのですね。
 
glay-s1top.jpg
井手 私自身も、父や周囲の職人さんから吸収した技術を発揮できるようになり、ようやく「何があってもこの仕事を続けよう」と決意を固めることができました。おかげさまで現在はオーダーメイドの家具を制作し、首都圏の現場を中心に自ら施工する事業を展開しているところなんですよ。
 
吉井 オーダーメイドの家具を提供するうえで井手社長が常に心がけていることがあれば、ぜひ教えてください。
 
井手 私は弊社の家具を「特別注文家具」と呼んでいます。特別注文家具はお客様一人ひとりのご要望にお応えし、内装も含め空間を丸ごとデザインするためどうしても価格が高くなってしまうんです。ですから私が心がけているのは、お客様のイメージを明確な形で図面に落とし込むこと。実際につくりあげる協力工場の職人さんが、お客様のご希望どおりの家具を制作できるよう最大限の努力をすることが大切なんです。