女優として働けることが幸せ
憧れを持ち続け邁進する
女優 北香那
10月13日より全国で公開される、映画『春画先生』。春画の魅力を説く主人公と、その弟子を中心に描かれる偏愛コメディだ。その弟子である春野弓子を演じるのが、女優の北香那さん。「台本を読めば読むほど弓子というキャラクターに惹かれた」と語る北さんに、弓子を演じる際に心がけたことや、女優という仕事への向き合い方についてお聞きした。
撮影を通じて大きなものを得られた
映画『春画先生』で私が演じた弓子の魅力は、真っ直ぐさや、嘘のないところだと思っています。弓子が何かを隠そうとしても、表情に思っていることがダダ漏れになっているんですよね。欲しいと思ったものには、なりふり構わず向かって行くその一生懸命さに、気付けば自分が幼かった頃を重ねていました。
弓子にはそういったシンパシーを感じていたので、演じやすかったです。自分の思った弓子をぶつけていく感覚でしょうか。塩田明彦監督からは、表情をストレートに出してほしいと言われていました。演技においては、怒っているときは笑顔のほうが観ている方に怒りが伝わることも多いのですが、弓子はそのまま怒りの表情を出すんです。これまでの演じ方と違ったので、それは意識しました。
もう一つ意識したのは、発声をしっかりとすること。主演の内野聖陽さんはとても発声がしっかりされている方ですので、私の声が小さいと温度差が生まれてしまうんです。でも、ただ声を大きくするだけだと不自然な演技となってしまいます。塩田監督からは、「絶対に不自然にならない感覚を掴めるから頑張ってほしい」と言われました。この映画を通じて、その感覚を掴めたのかなと思っています。
実は、これまでに出演したドラマなどでも「もう少し声出せる?」と音声さんから言われることが多かったんです。でも『春画先生』の撮影の後はそのような注意を受けることが少なくなってきたように思います。女優として、成長させていただき感謝しかありません。
塩田監督を筆頭に、スタッフさんや共演者の方々はみなさん穏やかな方ばかりでした。私もその雰囲気に浸かって、ゆらゆらと自然体で臨ませていただきました。毎日が、とても楽しかったですよ。とても良い雰囲気の現場でした。