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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

ものづくりの本質を極め
楽しみながらソフト開発

 

両親の姿を見て、仕事への意識を学んだ

 
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杉田 音楽とプログラミングは、一見すると異なるジャンルのような気がします。でも、一つひとつの音符を組み合わせて楽譜をつくるように、プログラミングも文字列を組み合わせてつくるなど、似ている点も多いのでしょうね。
 
市川 おっしゃるとおりです。私の周囲には、IT系の仕事をしながらバンド活動を行っている人が多いんですよ。一つのものにこだわって作品をつくる魅力はどちらも共通しています。それに、技術を磨くことで、表現の幅が広がり、より良い作品をつくり上げることができるようになると、音楽もプログラミングも本当におもしろくなってくるんですよ。特に、私は、昔から何か物事にこだわる姿や、“匠”と呼ばれるような職人たちを「かっこいい」と思っていました。ですから、自分自身もかっこよくなりたいと思い続けてきたんです。
 
杉田 そのお考えは素晴らしいですね。どなたか影響を受けた方はいらっしゃったんですか?
 
市川 両親からの影響が強いですね。私の父はチェロの奏者で、一線を退いてからは音楽教室を運営していますが、80歳を過ぎた現在でも自ら生徒さんに教えているんです。また、母も看護師として長年働き続けています。私が両親の姿を見て学んだのは、技術を持っていれば、いつまでも自分のペースで楽しく働けるということでした。それを背中で教えてくれた両親には、本当に感謝しています。
 
杉田 ITに関連した仕事の中にも、昔ながらの職人が持つこだわりやアナログ的な良さが息づいている。それを、ご両親の姿から学んだというところに、とても素敵な物語性を感じます。それこそ、ゲームもしっかりとした物語があれば、よりおもしろくなりますよね。
 
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市川 そのとおりですね。ITの世界は合理性の塊ですし、システム開発も利便性や効率性を重視します。しかし、それだけで物事が完結しては楽しくありません。私はどんなものも結果だけでなく、その過程を楽しんだり、こだわりをもったりしなければだめだと考えているんです。裏付けとなる背景や、しっかりとしたストーリーを持って完成させたものは、音楽でもソフトウェアでも、素晴らしい作品になると信じています。
 
杉田 その思い入れこそ、市川代表がお仕事に取り組む情熱の原点かもしれませんね。それでは、社会に出てからのご活躍をお聞かせください。
 
市川 大学卒業後は、IT企業に入社し、エンジニアとして7年ほど勤務する中で、子どもの頃のプログラミングに対する情熱を取り戻しました。その後、NTTグループ企業に転職して、チームリーダーを務めながら若手の育成にも力を入れました。それから、ソニーのグループ会社へと転職し、そこではソニー製品に搭載されるさまざまなソフトウェアの開発に携わりました。自分が携わった作品が店頭に並び、ファンが喜ぶ顔を見ることができるのは本当に楽しかったですね。気が付けば12年間も在籍していました。