顧客の資産を守り抜く
正確無比な測量技術
国の測量を手がけた技術力に圧倒的な自信
駒田 あの震災がきっかけなのか。でもどうしてですか? このあたりも被害が大きかったそうですが。
髙島 つくばもそうですが、東北地方はもっと大惨事でしたよね。岩盤がずれたり、津波で土地の境界を示す杭が流されたりして、どこからどこまでが誰の土地かわからなくなって、大混乱に陥りましたから。その様子を見て、自分の中に「生活に身近な測量をする」という感覚が抜けていたことを実感しましてね。それで、今までの経験を活かして地域を意識した仕事をするために独立したんです。
駒田 それにしても、国家公務員の地位を捨てての独立ですから、大きな決断ですね。
髙島 国土地理院に入ってから定年までの期間を考えると、ちょうど折り返し地点にきたところでしたので、タイミングはよかったと思います。人生の後半は、「人の財産を守る仕事に従事しよう」という気持ちが湧き上がっていましたので。
駒田 なるほど。それで今のお仕事を始めたわけだ。御社の事業内容は、地元密着で家の敷地や公共工事をする際の土地の測量ですよね。後に続く設計、建築などの基礎になりますから、ものすごい正確さが必要とされる仕事だと思います。
髙島 おっしゃる通りです。でも、国土地理院にいた頃はパラボラアンテナを利用して日本とハワイとの距離を1mm単位で測ることもありましたから、ミスなく測る技術とその正確性には自信があります。ただ、今の仕事でミスをすると直接お客様に不利益を与えてしまう。それは絶対に避けなければならないことですから、細心の注意を払いつつ、神経を集中させて仕事をしています。
駒田 測量で不利益を与えるというと、どんな事例が挙げられますか。
髙島 例えば実際の面積より広く測量してしまうと、過大な固定資産税や相続税がかかってしまいます。逆に狭く測量すると、土地を売る時に値段が安くなってしまう。どちらも、お客様である土地の持ち主が損をすることになりますよね。
駒田 なるほど。だからこそ厳密な正しさが求められるわけだ。
髙島 そうなんです。さらに、土地を測量する時は測ることそのものが目的で依頼してくる方はいません。測量したら必ず「家を建てる」とか「橋を架ける」とか、その先の目的があるわけです。目的に向かう第一歩である測量で万が一にもミスをすると、家を建てた時に隣の敷地にはみ出したとか、橋が届かなかったとか、多大なご迷惑をおかけすることになるんですよ。つまり、測量はあらゆる工事の出発点なので、絶対に間違いが許されない仕事なんです。