プロフィール 北海道出身。富士通(株)で製造技術、サービス事業の立ち上げの経験を積む。その後、富士通フロンテック(株)にて金融サービスビジネスの部長として、ATMアウトソーシングサービスの拡大に取り組んだ。その時に培った経験で「やりたいと思ったらやれないことはない」と確信し、経験を活かした社会人教育事業を志して同社を退職。CBC経営診断士の資格を取得後、2014年9月にアイ・トライ合同会社を設立する。精神障がい者・知的障がい者、難病を抱える人を対象に就労移行支援を手がけ、現在に至る。【ホームページ】
アイ・トライ合同会社の土田敬之代表が運営する就労移行支援事業所、“アイトライさいたまセンター”。社会に参加することが困難な状況にある人が“挑戦”する心を持てるよう、そして自ら就労への道を歩んでいけるように、豊富な企業経験に根差したアドバイスと指導を行っている。生活面から仕事の基礎的技能の習得、就職活動まで、トータルな支援に意欲を燃やす土田代表に「オフィス感覚の就労移行支援」について聞いた。
生活のリズムを整えることが就労への第一歩
水野 アイ・トライさんが運営する就労移行支援事業所「アイトライさいたまセンター」ではどんな活動をされているのでしょう?
土田 主に精神障がいを抱える方や、知的障がい、難病をお持ちの方を対象に、就労に向けた総合的な準備を一人ひとりに合わせたプログラムで個別指導しております。障がい者の方の就労における最初の課題は、健常者の方々と同じような生活習慣を送るのが難しい面があることです。このため、就労の土俵に上がれなかったり、就労に至っても仕事に定着できなかったりするケースが多いんですよ。そこで当センターではまず、健康面のチェックや「毎朝ちゃんと起きる」「決まった時間の電車に乗って定刻までに出社する」などの日常生活のリズムを整える訓練から行います。
水野 なるほど。仕事の技能を身に付けるだけでなく、働きながら生活を送れるよう体を馴染ませてもらうんですね。
土田 はい、そうした「生活する力」を育てる訓練と「働く力」を磨く職業訓練、そして「就職する力」を養う就労訓練の3つを事業の柱としています。職業訓練では、パソコンの標準的な技能やビジネスマナーの習得、さらには資格の取得を目指す勉強もします。一般にパソコンの勉強というと、ワードやエクセルといったビジネスソフトの習得を指す場合が多いと思いますが、当センターでは、データの集計力やビジネス資料作成力のイロハも身に付きます。