◆創業50年を誇る
板金加工会社の新境地
精密機械の部品などを手がける静岡県の板金加工会社・株式会社山崎製作所。熟練の職人たちの確かな技術と柔軟な対応力を強みに、創業50年を誇ります。同社は、「若い職人に、夢をもってものづくりをしてほしい」という思いから、2015年、技術力を活かした自社製品の開発に着手。そして翌年1月に自社ブランドを立ち上げました。
ブランド名は「三代目板金屋」。一見ユニークなこの名前、“三代目”には山崎製作所の経営者が現在は2代目であることにちなみ、職人の未来、板金加工の未来への思いを込めたのだとか。手がけているのは、ジュエリーやインテリア。それも、従来の板金加工業の殻を打ち破るような斬新なプロダクトばかりなのです。今回は、熟練の技術と新しい感性を融合させてたどり着いた、老舗板金加工業の新境地をご紹介します。
◆小物からインテリアまで
金属で異なる表情を見せる
金属アレルギーになりにくく、輝きが持続するステンレス。その特性を活かしつつ、職人の技で豊かな表情を引き出したのが、ジュエリーシリーズ「SUS texture jewelry」です。昼から夜に変わる瞬間の空を、複雑な色と輝きで表現した「magic hour」、静かな朝の森にかかる霧のような質感を持たせた「mist」など、それぞれ同じ素材でありながら、加工により全く異なる個性を発揮しています。様々な可能性を秘めたステンレスという素材には、いつまでも錆びない輝き続ける大人に――そんなメッセージが込められているのです。
金属の“重い”“冷たい”“硬い”というイメージを覆す、優美なデザインの前者2シリーズとは対照的に、金属ならではの素材感を新しい形でアプローチするのが、スタイリッシュでモダンなメタルインテリアシリーズ「無機質-Modern metal-」。当初、開発チームは金属の特性をいかにオブラートに包むかを考え、試行錯誤を繰り返していたと言います。そんな中、金属の素材そのままを打ち出すに至ったきっかけは、大きな“気付き”でした。
◆熟練職人ד板金女子”の
化学変化で未来を変える
「三代目板金屋」の開発は、社内の女性スタッフ――“板金女子”による「なでしこ板金部隊」を中心に行われています。板金加工は、これまで主に男性職人の世界でした。そこに板金女子の新たな視点を加えることで誕生したのが「三代目板金屋」なのです。
金属の冷たく硬い素材感を“壁”ととらえ、「もっと暖かさや柔らかさを」と試作を繰り返す中、現場の職人から発せられた「もう、優しいだけじゃ物足りないんですよね」という何気ない一言。この言葉から、「求めていたのは、金属の冷たさや硬さ、重さを楽しむこと。伝えたかったのは、自分たちの大好きな金属の素材感」という気付きを得、金属の素材そのままのシリーズ「無機質-Modern metal-」が生まれたのでした。「無機質-Modern metal-」では現在、ペンダントランプやコーヒーテーブル、スツールなどをラインナップ。シンプルでありながら、線と面で描く美しいシルエットや輝きは唯一無二の存在感を誇っています。
「三代目板金屋」として、利用者の手元に直接届く製品をつくり、利用者の声が聞こえるようになったことで、職人たちにとっても、大きな励みになったと言います。金属に魅せられた板金女子と熟練の職人のタッグにより生まれたメタルインテリアとプロダクトの新たな形が、板金加工業の未来に新たな光を灯しました。着実に製品のラインナップを増やしている「三代目板金屋」。今後、どんな進化を見せてくれるのか、目が離せません。
三代目板金屋
http://www.bankin-ya.jp
株式会社山崎製作所
〒424-0065 静岡県静岡市清水区長崎241
TEL 054-345-2186(代)
http://www.yamazaki-metal.co.jp