時代とともに、価値観は変わるもの。そうした変化がトレンドとして目に見えやすいアパレル業界も、近年はSDGｓの観点からスローファッションへの意識の高まりを感じます。環境や動物へ配慮したサステナブルな新素材もバラエティに富み、エコファーやヴィーガンレザーなどを積極的に採用するブランドも増えました。そうした中で今、国内外で話題沸騰中なのが長野県飯綱町発のレザーブランド「RERIGO（レリゴー）」です。 RERIGOの製品に使われているのは、りんごジュースやシードルづくりなどの過程で生じたりんごの搾りかすを有効利用したアニマルフリーの合成皮革「りんごレザー」！　生産者に大切に育てられたりんごの種や皮が、最新の技術をもって、食品廃棄物ではなく資源の一つとして活用され、丈夫でスタイリッシュなバッグや財布などのアイテムへと生まれ変わっています。 りんごの産地である長野県飯綱町から、日本初となる国産りんごレザーブランド・RERIGOが生まれた背景には、生産者や地域の人々、多くの人の思いがありました。「りんご、その後、レリゴー。」――地球に優しい新素材、魅力あふれるりんごレザーの軌跡をご紹介しましょう。

日本で初めての素材、りんごレザーはどのように生まれたのでしょうか。RERIGOを手がける株式会社SORENAの伊藤優里代表は、食品会社に勤務時代、食品の輸入依存による物価の上昇やフードロスといった問題を目の当たりにし、未来への不安を感じていたと言います。そしてきわめつきは、2019年、長野県に大きな被害をもたらした台風の影響でした。 当時、長野県中の多くのりんご園が被害を受けました。落ちてしまったりんごは規格外として売り物にもならず、さらに、廃棄するにも費用がかかってしまいます。食べられなくなってしまった後のりんごも、なんとか活かせないか――こうした思いから、株式会社SORENAと日本で1％のりんご収穫量を誇る長野県飯網町がタッグを組み、りんごレザーのプロジェクトがスタートしたのです。 りんごレザーの原料は、林檎学校醸造所をはじめとした、飯網町にあるシードル工場やジュース工場から提供されるりんごの搾りかすです。本来廃棄されるはずの残渣を粉末化して合皮材料に混合することで、美しいレザーへと生まれ変わりました。製造は国内屈指の自動車内装材メーカー・共和レザー株式会社の協力により、長時間の使用にも耐えられる高品質を実現。こうして、つくり手たちの思いがこもったりんごレザーは、未来につながるエシカルな新素材として、大きな一歩を踏み出しました。

りんごレザーの魅力は、アニマルフリーやエコといった面だけではありません。軽くて汚れにも強く、加水分解が起こりにくいため耐久性にも長けているなど、機能性も抜群です。扱いやすいレザーなので、デイリーユースのアイテムにぴったり！　RERIGOでは、製品の第一弾として、2022年12月にりんごレザーの財布を発表しました。クラウドファンディングの先行予約でも大きな話題を呼び、その後もバッグやキーケースといった日常使いのアイテムを展開しています。 RERIGOのアイテムは、レザーならではの高級感に加え、いずれもシンプルかつ使いやすさにもこだわった、洗練されたデザインが特徴的。トレンドに左右されず、長く愛用できるアイテムとなっています。そのため、素材の珍しさや、単純にデザインが気に入って手に取る人も多いでしょう。そうしたきっかけから何気なく手にしたとしても、RERIGOなら、使っているだけで社会貢献になるのです。 「SDGｓに興味があるけど、何から始めたらいいのかわからない」。そんな人は、RERIGOを入り口に、フードロス問題などを考えるきっかけにしてもいいかもしれませんね。今後もどんなりんごレザーのアイテムを魅せてくれるのか、RERIGOのニュースに注目です。