ドラマ、映画、舞台。どれも芝居というエンターテインメントとしては同じジャンルです。その中で、唯一舞台が他と異なるのは、ライブであるということ。今回は、6月に再演される舞台 『スピリチュアルな1日』 に出演する石田明さん (NON STYLE) と須藤理彩さんに舞台の魅力、再演に至るまでの道のりについて話を聞きました。
初演は2011年の4月1日から3日間のみの公演。当時は、東日本大震災であらゆるエンターテインメントが自粛をしていた時期です。しかし、スタッフ&キャストは 「こういう時期だからこそ、笑ってほしい」 と、わずか3日間だけの上演に踏み切りました。公演後、観客の多くは 「笑って、笑って、泣きました」「生きていこうと思いました」 とコメントを寄せ、その感動が、今回の再演へと結びついたのです。
主人公はフリーのTVディレクター。心霊特集でオンエア予定のドキュメンタリー映像に問題が発生したことを機に、彼の家には様々な訪問者が・・・。全員を巻き込み、“旅立つ者” と “生きていく者” それぞれの気持ちを描いていきます。
◆ 初演から1年。当時の想いと、再演が決まった時の気持ちを聞かせてください
石田 初演時は震災直後だったからこそ、とにかく皆さんに笑ってもらいたい一心でした。役者どうしもお互いを励ましあい、盛り上げようとして自然と結束力が強まりました。最終的に、泣いて笑って 「新しい一歩を踏み出そう」「また一から頑張ろう」 と思える作品であり、関わった全員が本当にやってよかったと思える舞台でしたね。
須藤 あの3日間は、舞台に立つ私たちも不安でいっぱいでした。少しでも元気になってもらえたらという想いで舞台に立ったはずが、結果としてお客様から元気をもらってしまった感覚もあるんです。だから、「今度はちゃんと与える側として、この舞台に立ちたい」 という気持ちが非常に強いですね。
◆ スタッフ&キャストも再集結したわけですが
初演時はお互いどのような印象を抱いていましたか?
須藤 共演する前は 「白い服の人」「普通の芸人さん」(笑)。でも、稽古を重ねるうちに、すごく広い視野とアンテナを持っていて、何をやってもキャッチしてくれる人だなという印象を受けました。他の役の持ち味もきちんと引き出してくれて、頼もしかったです。芸人さんとしてではなく、一役者として魅力的だし、尊敬できる人だなって。こんな感じで良い(笑)?
石田 ぼくが取材前に 「こう言ってください」ってメールした内容通りですね! ・・・というのは冗談で(笑)。須藤さんの印象というと、最初の本読みの時に須藤さんに 「どれくらいの声の感じでやるんですか?」 って聞いたんですよ。そうしたら 「力を抜いてラフにやりますよ」 なんて言っていたのに、いざ始まるとめっちゃ声も大きいし、すごく真剣で、「この嘘つき~!」 って、びっくりしました。ぼくは普段、演じる時は流れで役に入っていくタイプなんですが、須藤さんは気持ちの切り替えがとても早くて、どのタイミングでも役に入り込めるところが素晴らしい。「これが女優か!」 と感服しました。
須藤 こんなふうに冗談まじりで話せるようになるまでは、殴り合ったり、河川敷に寝転がったりしたよね・・・っていうのも冗談ですけど(笑)、役者どうしの絆を結んだのは、やはり震災でしたね。稽古中、余震のたびに 「携帯とお財布だけ持って!」「大丈夫!」 って、みんなで行動していたことが、結束につながったのかなと思っています。
石田 そうそう。一人ひとりがお互いを思いやりながら過ごしていましたから。須藤さんの車で送ってもらったり、みんなで歩いて帰ったり・・・あとは、お酒好きが多かったというのもあって、一気に仲良くなれましたよね。