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ろうそくがもたらす癒し効果

 
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ろうそくに灯る炎は、絵をより鮮やかに活かす
 夏と言えば、日本ならではの風情を感じやすい季節。風鈴、浴衣、団扇、花火、金魚鉢・・・ 私たち日本人が風流な夏を喚起させられる物は、やはり 「和」 に根差したアイテムです。今回は、その風流なアイテムの中から、日本の伝統工芸品のひとつ、「絵ろうそく」 の魅力をご紹介しましょう。
 
 炎暑盛るこの時期、実はろうそくの灯りは大きなメンタルケアをもたらしてくれます。その秘密は、ろうそくの炎が揺れるリズム。このリズムは 「1/fゆらぎ」 の法則にのっとった、心身安定をはかることができるリズムなのです。
 
 1/fゆらぎとは、簡単に説明すると、人の心拍と同じリズムで快適さを与えるネイチャーノイズのこと。たとえば、小川のせせらぎに耳を澄ませたり、蛍の光が明滅しているところを見ると、不思議と心が落ち着いてくるはず。これは、こうした自然界にあるリズムが、やはり自然界の一部である人間の心拍数と同調するので、落ち着きを得られるわけです。
 
 

並み居る名臣たちが育てた伝統

 
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四季折々の花が描かれ、バリエーションも
豊か。光に透ける純白のろうも清々しい
 絵ろうそくの産地は各地に点在していますが、やはり有名どころは福島県・会津地方。今から500年ほど前、時の領主・芦名盛信は、自国の経済をうながすための産業政策を考えました。それが漆の植樹です。
 
 盛信が漆を奨励したのは、大きく分けて二つの理由がありました。まず、漆の樹液は漆塗りの塗料となること。次に漆の実 (種) からはろうが採取されるため、ひとつの木を無駄なく使うことができること。これにより、漆塗りとろうそくが共に発展してきたのです。
 天正年間(1590年) になると、織田信長につかえていた蒲生氏郷が会津に転封されます。蒲生氏郷といえば、当代きっての政治手腕を発揮した能臣。その辣腕は会津でもいかんなく発揮され、近江(現在の滋賀県) より優れた技術者を呼び寄せ、絵ろうそくの品質をさらに向上させていきました。
 氏郷が品質を高めた絵ろうそくは、江戸時代になって伊予松山から入封した加藤嘉明、徳川二代将軍秀忠の子・保科正之、保科家の子孫である会津松平家がその伝統を引き継ぎ、日本中に広がっていきました。こうして、会津藩の財政を支える産業に成長した会津絵ろうそくの技術が洗練されていったのです。
 
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漆の実からとれた木ろう。これが会津絵ろうそくの品質を支える
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ろう鍋で木ろうを溶かしているところ
 
 
 

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