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スポーツ 建山義紀の「ココだけの話」 vol.11 野球評論家デビュー! 建山義紀の「ココだけの話」 テキサス・レンジャーズ投手

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vol.11 野球評論家デビュー!

 

そもそもキャンプで何をする?

 
 ということで、さっそく評論家らしくキャンプのことを解説しましょう。野球がお好きな方はおわかりだと思いますが、そもそもキャンプは何のためにするのか? 
 
 キャンプの場は、チームとしての見方と、選手としての見方とに分かれますが、「選手目線」で語る建山評論だけに、選手に特化して話すと、当然ですが、キャンプは選手にとって準備をする場なんですよね。例えばピッチャーであれば「今年は200イニング投げる」とか、バッターであれば「今年は3割打っていく」など、個々の目標を掲げて選手たちは調整をしている。一年を通してケガなく、目標をまっとうするための下地づくりなんです。
 
 もちろん、チームでチームプレー、サインプレーをすり合わせることもありますが、個人個人の考え方としては、年間目標を見据えた位置づけの期間でいい。僕もそうしていました。そしてその準備が、最終的に日本一や世界一につながってくる。
 
 アメリカと日本で大きな違いはありますが、このキャンプをうまく過ごせるかどうか。自分の現役時代を振り返っても、やっぱりいい成績を残した年は、いいキャンプを過ごしていました。キャンプの過ごし方はシーズンの成績を左右する、とても重要なものなので、各チーム、各選手のファンの皆さんもその点に注目してキャンプを総括してみるとおもしろいですよ。
 
 ちなみに、日本もアメリカも開幕はほぼ同じ時期なのに、アメリカは集合日が遅いという大きな違いがあります。ご存じの方も多いと思いますが、日本では2月1日にキャンプが始まるとしたら、アメリカではピッチャーとキャッチャーのバッテリーは2月中旬ぐらい、野手は20日過ぎに集合がかかる。3週間近い違いがありますが、要するに、日本でチームの中で調整することでも、アメリカの場合は、「個人でできることは全部一人でやってきてください」というスタンスなんですよ。
 
 アメリカのピッチャーは各自で体を慣らした状態でキャンプインするため、いきなりブルペンで投げ込んだりしています。どんなベテランでも、ブルペンに入らないというピッチャーはいないんですね。いっぽう、日本の場合は2月1日にスタートして、身体を慣らしてから徐々に投げ込み始めます。そういう意味では、日本のほうがじっくり自分をつくり上げることができる環境ですね。
 
 僕もメジャー時代は、アメリカのキャンプに慣れるために、集合日に照準を合わせて日本でやってきたことをそのまま2月1日から実践していました。
 例えば投げ込みの時期であったり、自分の体を落としこむことであったり。体力的に追い込んで落としこむ。そういう時期をつくりました。でもね、これが厄介で、インディアンスに所属している村田透と2人でやってたんですが、2人でやっても、全然テンション上がらないんですよね(笑)。ブルペンだったら、他にもピッチャーがたくさんいますから否応なしに上がっていくんですけど、自分を盛り上げないとなかなか気合いが入らないので、パナソニックの練習に混ぜてもらったり。ランニング1つにしても、同じ体力レベルの人たち何人かで走るように、日本のキャンプは設定されているけど・・・。孤独でした(笑)。テンションの上がらなさを気持ちでカバーして、自分を盛り上げてやらなきゃいけないので、義務的な感じは、僕にとってはしんどい時もありましたね(笑)。でも集まってしまえば、やっていることは一緒ですから、アメリカ、日本を問わずキャンプの雰囲気は好きでしたけどね。人それぞれ、やりやすいやり方はあると思います。
 
 

評論家・建山ならではの武器

 
 現役を離れると、より見えてくるものもありますが、改めて日本の球界の変化もすごく感じられるようになりました。なんというか、エンターテインメント性を重視する傾向が年々高まっていますよね。
 
 例えば木田優夫さんの引退試合をオープン戦でやるとか、昔にはなかったアイデアで野球界そのものを盛り上げようという意識統一が図れてきている気がします。
 もちろん相手方の了承をとるのも大変なのですが、そういうことも理解されていくようになってきた。もともとは日本ハムが先駆けとしてやってきましたが、ここに来て足並みがそろっている感はありますね。
 
 そんな中で、今後僕がどんなふうに野球界に貢献できるか。キャンプを見ていたら、すごくアメリカに行きたくなりましたね。日本の野球をしっかり勉強して伝えるのも大事ですが、メジャーのいいところ、日本のいいところ、それを伝えあって、お互いに見習える関係になれば野球そのものの進歩にすごくつながると思うんです。アメリカでも取材して、引退1年目だからできることもあるわけで、日本人選手だけじゃなくて、テキサスの元チームメイトなんかにも直撃しやすいですからね。メジャーが全てではなく、日本からアメリカへという意味でも双方の野球界に貢献したいですね。
 
 僕の武器は大きく2つあって、1つは日米両方の野球を経験したこと。アメリカではフロントがどう働いているかなどを、選手時代から気にかけてやってきたので、伝える側になってもその経験を生かすことができると思っています。
 もう1つは、上原しかり、ダルビッシュしかり、田中(将大)しかり、広島に戻ってこられた黒田さんしかり、マイアミ・マーリンズに移籍されたイチローさんしかり、日米双方でキラ星のごとく注目されている選手たちと“チームメイトだった”ということですね。これは僕にとってすごく大きな財産です。
 あっ、でもアメリカに行くなら最初に浩治のところに行かないと、あいつスネちゃうから、順番は間違えないように気を遣っていますけど(笑)。
 
 もちろん評論家としてはまだルーキーですので、いろんなことを学びながら、考えながら、自分らしいスタイルを模索していかなくてはいけません。
 
 選手とは違う責任の中で今後野球界に貢献できるようにありたいですね。ではまた!
 
 
 
 

 執筆者プロフィール 

建山義紀 Yoshinori Tateyama

野球評論家

 経 歴 

1975年、大阪府出身。中学時代からボーイズリーグにて野球を始め、東海大仰星高校ではエースとして君臨。1998年にドラフト2位で北海道日本ハムファイターズに入団すると、ルーキーイヤーの1999年にいきなり先発ローテーションへ定着。2002年から2004年にかけてセットアッパーとしての才覚を表すと、リーグ最多の13ホールドを記録し、最優秀中継ぎ投手を獲得。その後、先発・リリーフともに計算できる投手としてチームに貢献した。2010年に海外FA権を行使してのメジャー挑戦を表明し、テキサス・レンジャーズに入団。2013年のシーズン途中、ニューヨーク・ヤンキースに移籍。2014年6月からは阪神タイガースで活躍し、同年を限りに現役を引退。2015年からは野球評論家・解説者として新境地を開拓している。

 ツイッター 

http://twitter.com/tatetatetateyan

 
(2015.3.11)
 
 
 

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