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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 

まだ経験したことのない
すべての役柄を演じてみたい
俳優 溝端淳平

 
8月20日からシアタートラムにて上演される二人芝居『毛皮のヴィーナス』。たった二人で観客を物語の世界に引き込まなければいけない演劇に挑むのは、俳優の溝端淳平さんだ。「演劇と出合ってお芝居の楽しさを知った」と語る溝端さんが『毛皮のヴィーナス』でトーマス役を演じるにあたってどのような思いを持っているのか。また、10代の頃に俳優デビューを果たし、どのように芝居と向き合ってきたのかをうかがった。
 

観客を圧倒する演技をしたい

 
舞台『毛皮のヴィーナス』は、ヴァンダ役を務める高岡早紀さんとの二人芝居です。密室の会話劇でもあるので、場面転換もありません。役者がどのようにセリフを言うのか、どのように感情の起伏を表現するのかがより大切になるでしょう。演者が二人しかいないので、例えば何かトラブルがあったり、少しの違和感があったりしたときに修正をするのがすごく難しいと思うんです。助けがないんですよね。
 
二人芝居は、役者の技量や熱量がダイレクトに観客の方々に伝わります。それに、役者自身に何かしらの魅力がないと、観ている方がなかなか物語の世界に入り込めないかもしれません。そういったハードルの高さを感じています。だから、今はまだこの演劇を楽しむ余裕がないんですよ(笑)。実際に公演が始まってみないと、どうなるかわかりません。
 
僕が演じるトーマスは、自分自身が脚色した戯曲のヒロイン役を求めてオーディションを行う演出家です。演劇に対して大きな熱量を持っているものの、自分のやりたいことと、現実とのギャップに苦しんでいます。世の中の演出家や女優に対して、不満を抱えてもいます。自分の才能に自信を持っているようで、どこか虚勢を張っている部分があるように思いますね。鬱屈した人物という印象です。
 
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そんなトーマスと、ヴァンダがオーディションを通じて主導権を握り、立場が逆転し・・・といったスリリングな会話劇を楽しんでもらえたら嬉しいですね。最近は、何が強さで、何が弱さなのか曖昧な気がしています。いろんな立場の人、さまざまな意見を持った人たちの考えが渦巻いている時代になってきていると感じています。
 
トーマスとヴァンダの主導権の握り合いは、単純に強い者が勝つというわけではありません。弱いように見えて、実は相手をコントロールしている場面もあります。そういった構図が、現代の日本に通ずるところもあるんじゃないかなぁ。ぜひ、そういった場面も楽しみにしてもらいたいです。
 
コロナ禍になって、演劇業界ではなかなか公演ができない時期も続きました。久しぶりに劇場に訪れる方もいらっしゃるでしょう。そんな方々に、「やっぱり演劇っておもしろいな」と思ってもらえる舞台にしたいです。『毛皮のヴィーナス』だけではなく、舞台に出させていただくときは、観客の方々を「舞台ってすごいな!」と圧倒したいという思いを持っています。
 
 
 
 

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