8時間の労働が苦役でしかなかったら
1日は24時間です。そのうち睡眠時間を8時間取るとして、残りは16時間。私たちはその中で、8時間は労働をしています。もし、その8時間が罰ゲームのような苦役だったら、起きている時間の半分近くが苦しみの時間になってしまいます。労働は苦しいものではなく、自分の成長を実感できたり、他人の役に立ち、貢献していることを実感できたりするほうが望ましいですよね。ですから、「ほめ達!」的な視点から言わせてもらうと、職場の心の環境を健全なものにするにはどうすればいいのかを考えることが、真の働き方改革=働きがい改革につながると思うのです。
ブラックならぬ、コールド企業
過労死するまで社員を働かせるなど、過酷な労働を強いてくる会社を、ブラック企業と言いますよね。社会問題にもなっていますからそうした会社は、現在はどんどん少なくなっています。では、休みがあり残業代さえしっかり支払われていれば、それは良い企業でしょうか? 例えば、福利厚生がしっかりしていて、残業がなく、有休も取得しやすい会社があったとします。しかし、その会社で一生懸命働く社員に対して、働きをねぎらう言葉がなく、社会に貢献している実感も持てない職場だとしたら? 待遇は良くても、人に対して温かみのない体質の企業、いわばコールド企業とでも言うような会社は、良い会社といえるでしょうか?
以前私は、現代に働く若者たちは、心の報酬を求めている――というお話をしました。心の報酬とは何か。一つは成長の実感。そして、もう一つが貢献の実感です。収入が下がったとしても、健全に働けてやりがいを感じられる仕事であるなら、そちらを選びたいと思う若者が、現実的に増えているのです。
自分自身の働き方を改革
人の役に立って、喜ばれて、納得いく対価がもらえる。そういう仕事ができたら、本当に素晴らしいですよね。年齢に関わらず、自分自身の働き方を振り返るのは大事だと思います。
人生100年時代において、職業の選択は重要な問題です。自分がいい仕事をしていると誇れるように、ご自身の働き方を見直してみるのも良いかもしれませんね。
次回で「未来を拓く言葉たち」は最終回になります。ラストもどうぞ、お楽しみに!
第29回 ほめ達流、働きがい改革
著者プロフィール
西村 貴好 Nishimura Takayoshi
一般社団法人日本ほめる達人協会 理事長
経 歴
1968年生まれ。大阪府出身の「泣く子もほめる!」ほめる達人。ホテルを経営する家の三代目として生まれ、経営術を学びつつ育つ。関西大学法学部卒業後、大手不動産に入社して最年少トップセールスを樹立。その後、家業のホテルを継いで経験を積み、2005年に覆面調査会社「C’s」を創業する。短所ではなく長所を指摘することが調査対象の企業成長に効果があると発見し、「ほめる」ことの重要性に気付く。数々の実績を上げる中で、2010年2月に「ほめ達!」検定を実施する、一般社団法人日本ほめる達人協会を設立し、理事長に就任。以降、検定を通じて「ほめ達!」の伝播に尽力している。著書に『繁盛店の「ほめる」仕組み』(同文舘出版)、『ほめる生き方』(マガジンハウス)、『心をひらく「ほめグセ」の魔法』(経済界)、『泣く子もほめる!「ほめ達」の魔法』(経済界)、『人に好かれる話し方41』(三笠書房)などがある。
日本ほめる達人協会オフィシャルサイト
西村貴好オフィシャルブログ
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