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繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポートvol.87 甲辰年。新しい10年間に際しての人事評価制度改革

ビジネス 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.87 甲辰年。新しい10年間に際しての人事評価制度改革 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート 商業経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役副社長

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明けましておめでとうございます。佐藤勝人です。今年の始まりは各地でいろんなことが起きて大変だけど、皆さんの周囲はいかがですか? それぞれがそれぞれにできることをやっていくしかないよね。そうして令和六甲辰年を元気に乗り切っていきましょう。弊社サトーカメラ、および日本販売促進研究所を今年度もよろしくお願いいたします。
 
 

年末年始は初めて人事について勉強
目からウロコが落ちました

 
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宇都宮市中心に鎮座する二荒山神社にて。絵馬を奉納しました!
この年末年始、私はサトーカメラの人事制度改革のことばかり考えてました。細部の具体的なことは若い世代の幹部たちに任せてるけど、どういう考え方の下でどう変えていくかは私もわかっておかないといけないから、年末に人事制度の本を読み始めたら、おもしろいのなんのって。だって、過去に起きた問題の原因の大半が人事評価制度の実体と現実の差異にあったことがわかったから。目からウロコでした。
 
年が明けてからも勉強は続けていて、現時点での学びを私なりにまとめると、日本はこれまで「職能評価」=人に給与が付くことが常識だった。例えば職長も、もう10年職長をやっていてどんどん仕事ができる人と職長1年目では、給与(=評価査定)に差をつけるのが普通だった。
 
それに対し欧米は職務で評価する。だから職長であれば、10年選手だろうが1年目だろうが評価は同じ。昔、ソニーが初めてアメリカに工場を建てて現地で人を雇い始めたとき、一つの製品をつくる専用ラインしかなかったらしく、それを将来的には一つのラインで複数の製品をつくる混成ラインにしていくつもりだった。現地で職長を採用しても混成ラインなどできないから、日本から熟練の職長を呼び寄せて機能させたらしいが、そうなると現地採用の新米職長は、「給与が低い! 同じ職長というポストなのになぜ日本人は給与が高いんだ! 差別だ!」って大騒ぎになったんだって。日本の常識だと「熟練なのだから当たり前だろう」ってことなんだけどね。
 
ビジネス書ではよく、「欧米は実力主義」「欧米の評価制度はフェア」と書いてあって、それを私たちは「実力・能力を正確に、細かく評価してもらえる」という意味に理解しているけど、そうじゃないんだってね。そっちで言ったらよっぽど日本のほうが細かく人を評価している。個人に対して等級で10段階とかに職能を分けてフェアに扱う。そうすることで、ヒラ社員でも等級が上がれば給与が上がるから、同じ会社の中でポストは変わらなくても、自分の職能は上げたいと努力するようになるらしい。それが長く勤めてもらう日本式の良い点でもあるわけさ。
 
じゃあ、欧米の実力主義は本当はどういう世界なのか。わかりやすく言えば、「同一労働同一賃金」だから、ワーカーは何年働いても一生ワーカーのまま。いくら頑張っても昇給しないから自然とライフを大切にするスタイルになるし、さらに長く勤めれば仕事が早くなり、10の仕事を8時間かけてやっていたものが6時間で終わるようになるから、休みが増えるわけだ。
 
それとは別になるが、エリートは上のポストに昇格しなければ昇給はない。日本のように人にポストを与えることもなく、会社にポストが空いていなければ昇格することはない、今の会社で上のポストが埋まっていたらポストが空いてる会社に転職するしか昇給はないということだ。だから「ワークライフバランス」と言って、「頑張って仕事したって昇給しないのだからライフを楽しもうよ」というニュアンスになるわけだ。
 
そういう意味合いも含めた「職務評価」型なので、転職も当たり前で、日本のように会社が人の成長を重要視する職能型ではない。
 
「日本は労働者一人当たり生産性が欧米の何分の一」というようなことをよく言われるけど、新卒の若い人たちを一括採用して一から育てていく職能型と、生産性の高いベテラン組が集まる職務型では、生産性は変わる。だから「若い人たちの就職口が少ない欧米」と「ベテラン組の働き口が少ない日本」という感じにもなる。
 
また、欧米型はその職務を何十年もやっているベテランが多い。日本型だとどうしても、一つの職務に何十年勤める単能工型のスペシャリストよりも、基本的に、同じ人材が4年で転勤したり職務を移動したりして同じ会社で見識を広め、あれもこれもできるようになった多能工型のゼネラリストを重宝している感がある。もちろん、努力する人には誰にでも公平にチャンスを与えているから生産性が低くなるという考え方もあるんだけどね。
 
 

働き方改革で人事はさらに欧米型に変わっていかざるを得ない
時代に乗り遅れないよう、中小企業も自己変革を!

 
以上のことを今さら知って思ったのは、「今まで通り何もできない人をイチから育てて、それで会社としてやっていけるのか?」ということだ。
 
欧米企業が実質週休三日とかで回せているのは、職長クラスも大抵はベテラン組で、レベルが高いから、集中してやるとそれくらいで仕事が終わっちゃうんだってね。ひるがえって日本は、職長は若い人ばかりで、モタモタやっているから・・・。
 
一人前なら8時間で済む仕事を半人前の人にやらせたら10時間かかる。昔はそれでも先輩とか上司とかが教えていたんだよ。「こういうときはこうやります」とOJTで手取り足取り。けど、今は働き方改革の世の中だ。教えてあげながら業務を進めた結果10時間労働になったら、「2時間残業です。手当ください」と言われる。法律も「手当を支給しなければならない」となってる。それで済むならまだマシなほうで、話が「時間外労働」にまでおよんでしまうから面倒臭い。
 
いやいや、それ言われちゃったらこっちは放るしかないから(笑)。だって、研修も何もやってられないじゃん。先輩たちも8時間以上就労しちゃ駄目なんだもん。できない人の面倒見る暇ないもん。そしたら、「自助努力でよろしく」って言うしかないじゃない、ねえ。
 
実際に、欧米はそうだからね。ワーカーで終わりたくない人はプライベートの時間にスクールに通うとかして必死に努力するから。早く一人前になって採用してもらうためにね。要は、半人前のままで企業に採用されること自体がないんだよ。一生ワーカーでいいなら、そっちはそっちの社会があるけど。
 
安倍さんは働き方改革を始めるとき、「国際標準の働き方にしていく」と言ったけど、それはつまり結果的には、以上のようなことなんだ。企業社会も文化もそんな急には変われないのにマズいんじゃないか、と個人的には思っているけど、国がそうするって言ってるんだからしょうがない。一企業として時代に乗り遅れないようにするだけだ。
 
というわけで、今年からサトーカメラも現場をパート体制化します。メイン客層が子育てママなので、「同じような世代の女性陣に働いてもらうほうが共感を得られるのでは?」と予測したからです。そのうえで、戦略人材は社員採用で確保する。それも新卒とか中途とか決めつけない。そんな半人前の、会社経営や経営戦略のことを何にも知らない子を採らなくても、それなりの企業を何かの事情で辞めた人たちがたくさんいるから。ちゃんとクリエイティブな仕事ができる人を採用する。
 
なんでそうするかって、そのほうがお客さんが喜ぶし、日本でも大企業は欧米型になりつつあるからね。優秀な人間を使いたいなら、「大手にいるような人材が中小に来てくれるわけがない」なんて僻まずに、人事評価制度を改めて、優秀な人材に気持ちよく働いてもらえるおもしろい会社に変えていくことだ。「中小だから関係ない」なんて言ってたら時代に置いていかれちゃう。
 
今年令和6年は甲辰。編集部の話によると、なんでも、甲(きのえ)は10年で一巡する十干(じゅっかん)とやらの最初らしい。今年から日本はまた新しい流れに入る。そのつもりでスタートダッシュを決めていくよ! ヨロシク!
 
 
 
■1月24日 新潟勝人塾
事務局 おぐま経営研究所
https://www.facebook.com/events/2077143602636110
 
■1月25日・26日 サトカメ栃木MG
事務局 サトーカメラ法人営業課
https://x.gd/ZoWKt
 
■1月30日・31日 PIO勝人塾
事務局 郡上商業開発
 
■2月1日 大阪勝人塾
事務局 経営コンサルティングアソシエーション
https://www.facebook.com/events/6909105132543973
 
■2月8日・9日 富山勝人塾
事務局 滑川ショッピングセンター
https://www.facebook.com/events/903775211387841
 
■2月26日 岐阜勝人塾
事務局 メイクオーヴァ
 
■2月28日・29日 和歌山勝人塾
事務局 藤原農機
 
■日商assist bis 佐藤勝人の地域一番店商法
https://ab.jcci.or.jp/series/6182/
 
■最新著書「地域密着店がリアルとネットで全国繁盛店になる方法」
https://amzn.to/3EfDs6W
 
■ほぼ毎日更新.佐藤勝人YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC4IpsvZJ6UlNcTRHPgjellw
 
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担当/佐藤夏美 contact@jspl.co.jp
 
 
繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート
vol.87 甲辰年。新しい10年間に際しての人事評価制度改革
(2024.1.24)

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ代表取締役副社長/日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント/作新学院大学客員教授/宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師/商業経営者育成「勝人塾」塾長

 経 歴  

栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。

 オフィシャルサイト 

https://jspl.co.jp/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 YouTube公式チャンネル 

https://www.youtube.com/channel/UCIQ9ZqkdLveVDy9I91cDSZA (サトーカメラch)

https://www.youtube.com/channel/UC4IpsvZJ6UlNcTRHPgjellw (佐藤勝人)

 
 
 

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