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スポーツ 上原浩治のTrust Pitch! vol.24(最終回) 今、自分にできることを 上原浩治のTrust Pitch! ボストン・レッドソックス投手

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vol.24(最終回) 今、自分にできることを

 

とにもかくにも経験につきる

 
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1975年の復刻版ユニフォームで撮影!
 このコラムを通じて、たくさんのビジネスパーソンの方々に、僕の経験をビジネスのヒントにしてもらえたらと思いながら書いてきましたが、特に20代の人たちには、改めて伝えたいことがあります。
 それは、「いいことも、悪いことも、とにかく経験しよう!」ということですね。今置かれている状況が全てと思いがちかもしれませんが、何事も経験。経験しないことには何も語れません。失敗したっていい。むしろ失敗することのほうが多いわけで、それが当たり前なんだから。そこから学べばいいだけです。
 僕の失敗は、やはりケガでした。プロになってからは、とにかくケガとの戦いでしたから。野球選手である以上、ケガをしたら試合に出られません。すなわち「ケガ=失敗」なんですね。ケガをして、「次からはどうしたらケガしないか」と必死で考えて学んだつもりでも、またケガをしてしまう。でも僕は決してケガから目をそむけなかったし、逃げることだけはしなかった。人のせいではないし、人が何かをしてくれるわけではない。あくまでも自分。「自分で何とかせなしゃあない」としか考えていませんでしたから。
 例えば、プロの若手選手が先輩に食事に誘われたとしますよね。でも、自分の身体のケアができてなければ、きちんと断りを入れなくてはいけないわけです。自分のやるべきことがまだできていないんですからね。
 この時期は自分で判断できずに周囲に流されてしまうことも多いかもしれないですけど、何をするにしても責任は自分にある。だから、目の前のやるべきことをコツコツと手抜きをせずに頑張るといいと思いますよ。僕はそうしてきたし、それを今も続けているおかげで、素晴らしい経験がたくさんできました。
 
 

大事なのは、今、自分にできること

 
 そして、僕と同世代の皆さんには、若手にきちんと「自分のやるべきこと」を意識させて、教えていける中堅であってほしいと思っています。
 そういう意識の高い人が集まる組織はやはり強い。全員の目標が「勝利」「結果」に向かっていますからね。同じ方向を向いている時は、勢いも出てくるものです。会社で言えば業績がいい時は、社内の雰囲気もいいでしょ? 野球でも勝っている時はそういうものです。逆に、成績が低迷している時はだいたい、こうした個人の意識がバラバラになっているものです。それは中堅どころも含めてみんなが「自分のやるべきこと」を見失っているから。それだと目標も定まらないし、全員が同じ方向を見られない。結果を出すための準備をおろそかにしては決して勝利に手は届かないというのが、今の僕の経験則から来る言葉です。
 目標をいくつ持つのも自由ですし、高く設定するもの自由ですが、まずは目の前のことをクリアできるということが非常に重要です。次の試合に勝つこと、次の登板できっちりと抑えること。僕の場合、まずはチームが勝てばいい。勝った時の喜びが雰囲気をつくって、次のステップを飛び越えるための踏み台になる。高すぎる跳び箱を、いきなり跳ぼうとしても無理ですからね。
 今、自分にできること。やはり、「今」なんです。今を大事にすると、その仕事をより好きになれるはず。僕が仕事をするうえで大切にしていることは、自分のやっていることを好きになること。そのために目標を見出し、一つずつきちんとクリアしていく。逃げずに、まっすぐ向かっていく。ストレスが溜まったら、誰かに聞いてもらえばいい。その積み重ねが信用をつくるんです。やることはシンプル。目の前にある、やるべきことをコツコツやる。結果が出る、出ないはもちろんあるから、いい結果にならなくても、準備はちゃんとしておく。いつかは必ず返ってきます。シーズンは始まったばかり。僕もコツコツ頑張りますよ! 
 
 このコラムを最後まで読んでくださった皆さん、4年間本当にありがとうございました。ボストンでお待ちしています!!
 

〈連載了〉

 執筆者プロフィール 

上原浩治 Koji Uehara

ボルチモア・オリオールズ投手

 経 歴 

大阪府出身(出生は鹿児島県)。東海大学付属仰星高校から大阪体育大学に進学し、大学3年時に日本代表に選出。1997年に出場したインターコンチネンタルカップ決勝では、当時国際大会151連勝中だったキューバから先発勝利をあげ、注目された。ドラフトで読売ジャイアンツに1位指名(逆指名)を受け、1999年に入団。ルーキーイヤーに20勝投手となり、最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の4冠を獲得し、新人王と沢村賞も受賞。翌2000年は肉離れのため登録抹消となるなど、ケガに苦しむシーズンを送るも、2002年に再び17勝をあげ、優秀選手賞を受賞。2004年にはアテネオリンピック野球日本代表に選出され、銅メダル獲得に貢献。2006年のワールド・ベースボール・クラシックでも日本代表のエースとしてチームを優勝に導いた。2009年にボルチモア・オリオールズに入団。ベテラン投手の一人としてチームを牽引している。

 
 
 
 

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