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スポーツ 上原浩治のTrust Pitch! vol.15 活躍できる人の内にあるもの 上原浩治のTrust Pitch! ボストン・レッドソックス投手

スポーツ
 
 こんにちは、上原浩治です。
 
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オールスター投票の応援、ありがとうね!
 日本は夏まっさかりですね。皆さん、夏バテなどしていませんか? さて、アメリカのメジャーリーグもオールスターゲームを終え、シーズンも残り3分の1を残すほどになりました。オールスターのメンバー投票の時は、皆さん、応援ありがとうございました。球団もチームメイトも応援してくれて、こんなデカい顔写真のボードをつくってくれたり、投票を呼びかけるシールまで配ってくれたり・・・。本当、応援してくれた全ての人に、感謝の気持ちでいっぱいです。
 
 ぼくの調子はといえば、すこぶる好調! 試合に出続けられていますし、成績もついてきている。多少の疲れはありますが、そこは毎年のことやからね(笑)。でも気持ちの面では、昨年の夏とは大違い。昨年の今頃は故障者リスト入りしてましたから。
 
 

自分のすべきことを見出す

 
 個人的には調子がいいけども、我らがボストン・レッドソックスは、少々やっかいな問題を抱えています。それはケガ人が続出していること。この時期に故障者が増えるのは、珍しくはないけど、やっぱりケガ人が増えると、監督は頭を悩ませるよね。ただ、ファンにとっては、タンパベイ・レイズの勢いがすごいことになってるし、おもしろいリーグ終盤になりそうですね。
 
 それにしても、レイズの強さは、敵ながらあっぱれだと思います。何より先発ピッチャーが安定している。もともといいチームだったのですが、先発陣の好調ぶりが流れを引き寄せて、チーム全体が活気づき、調子がよくなっているので、簡単に止められる勢いではないかもしれません。
 だからといって、ウチも指をくわえているわけにもいきません。ケガ人が多くても、結局は今いるメンバーで奮起するしかない。それぞれがやるべきことをやる、それにつきますね。ビジネスパーソンの皆さんのように、会社組織に所属していても、同じことが言えるんじゃないでしょうか。
 
 ぼくであれば、同じピッチャーでも、今は特に 「最後を締める役割」 をチームから任されている。それは役割分担であって、チームのため、会社のため、自分がそのときにできる最高のピッチングをすることは、先発であろうと何であろうと変わりません。チームや会社のために動こうとすると、おのずと自分のすべきことって見えてきますよね。それを見出せる人が、いわゆる 「活躍できる人」 であり、活躍できる人が多ければ多いほど、チームは強くなっていく。そう思うんですよね。
 
 

ブレない軸がある人が活躍する

 
 チームのために活躍するということは、没個性であることとは違います。メジャーでたとえると、活躍できる人と平凡なプレイヤーで終わってしまう人には、個性の面で決定的な違いがあります。大活躍している人は、みんな、自分自身を持っているんですよね。というよりは、自分自身がどんなタイプの 「個」 であるかをよく理解していて、受け入れて対応している。だから、周囲や状況に流されない。そういう人は、本当に強いですよ。
 
 たとえば先日引退なさった松井秀喜さん。ヤンキースがセレモニーをするためだけに1日契約をするほど、チームメイトからも球団からもファンからも愛される選手でした。松井さんの現役時代の活躍は、ぼくが説明しなくても皆さん十分にわかっているでしょうが、松井さんは 「ブレない」 という強い個性を持っていた。人間性がしっかりしていて、何があっても動じない。松井さんも、きっとそういう自分が、本当に自分らしい姿だと理解していたんでしょうね。だからスランプに陥ったときでも慌てることなく、次に駆け上がるタイミングに向けて準備をすることができていた。
 
 ちなみにぼくの個性は、一言で表せば 「反骨精神の塊」 と言えるでしょうか。自分で言うのもなんですが、かなりの負けず嫌いですからね。なにせ 「ノーと言える日本人」 を目指し、体現していますから。負けてもへらへらしていて、ノーと言わずに適当にごまかすぼくがいたら、それは 「ニセ上原浩治」 です。
 
 

迷ったら進め、行けばわかるさ!

 
 なので、ぼくと同じようにビジネスという厳しい世界で戦っている皆さんには、ぜひ自分というものを強く持ち、頑張ってほしいなと思うんです。平凡なプレーヤーで終わってほしくない。
 
 そのためにぼくから言える言葉。「迷ったら進め、行けばわかるさ!」――あれっ、どこかで聞いたことがある?(笑) アントニオ猪木さんに触発されているわけじゃないですけど、これはぼくが自分自身にも言い聞かせている言葉なんです。何事も、やらずに後悔する人って意外に多いでしょう? で、聞いてみると 「自信がないからやらなかった」 と言う。じゃあ、逆にその人に聞いてみたい。「自信がついてからやるんですか? その自信はいつつくんですか?」 って。
 
 大事なのは行動すること。やることによって自信がつく。アメリカで、メジャーで野球をやりたいなら、「アメリカへ渡りたい」 ではなく 「アメリカへ渡る」 という実践をしなくては、自信なんかつきはしません。
 もしそのときに実にならなくても、それは決して無駄な努力じゃないと思うんですよ。何ヶ月後、何年後かに生きてくることだってあるわけです。“経験” という財産が手に入る。そのためには行動あるのみ。失敗しても、その経験を酒のつまみにすりゃいいじゃないですか。ぼくなんて失敗だらけの野球人生ですよ。
 
 
 さて、ちょっと男気あふれることを言ってしまったわけなので、ぼく自身も残りのシーズンを皆さんから見て恥ずかしくないように全力でやりきらなくてはね。頑張っていきたいと思いますので、引き続き、応援よろしくお願いします!

 執筆者プロフィール 

上原浩治 Koji Uehara

ボルチモア・オリオールズ投手

 経 歴 

大阪府出身(出生は鹿児島県)。東海大学付属仰星高校から大阪体育大学に進学し、大学3年時に日本代表に選出。1997年に出場したインターコンチネンタルカップ決勝では、当時国際大会151連勝中だったキューバから先発勝利をあげ、注目された。ドラフトで読売ジャイアンツに1位指名(逆指名)を受け、1999年に入団。ルーキーイヤーに20勝投手となり、最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の4冠を獲得し、新人王と沢村賞も受賞。翌2000年は肉離れのため登録抹消となるなど、ケガに苦しむシーズンを送るも、2002年に再び17勝をあげ、優秀選手賞を受賞。2004年にはアテネオリンピック野球日本代表に選出され、銅メダル獲得に貢献。2006年のワールド・ベースボール・クラシックでも日本代表のエースとしてチームを優勝に導いた。2009年にボルチモア・オリオールズに入団。ベテラン投手の一人としてチームを牽引している。

 
 
 
 

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