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スポーツ 上原浩治のTrust Pitch! vol.14 強さの引き出し 上原浩治のTrust Pitch! ボストン・レッドソックス投手

スポーツ

vol.14 強さの引き出し

 
 
 そして、試合を締めくくる「抑え」。「打たれたら、その試合は敗戦一方に転がってしまう」 という過酷な部署です。打たれてはいけないのは全役割に共通することですが、抑えは特に、逆転されたり追いつかれたりを絶対に防がなくてはいけない、重要な役割です。
 とはいえ、勝てばいいわけなので、0点で抑えるのが一番だけど、3点差があったら2点取られてもいいし、2点差なら1点取られてもいい。抑えの投手は自分の強み、決め球を持っている面々ばかりなので、ある程度の気持ちの余裕を持ちながら、「俺なら大丈夫。チームが俺を必要としてくれているんだから、全力でやるだけだ」 と、バッターボックスにいる野獣のような打者たちに挑んでいくわけです。そう考えると、抑えができる性格の人とできない性格の人がいると思う。
 
 

選手をやる気にさせる一言

 
 先発、中継ぎ、抑えのそれぞれで、役割や準備の仕方、気持ちの持ちよう、適性がこれだけ変わってくるわけですが、最後に、彼らがそれぞれの持ち場で同じように奮起するために、監督やコーチがどういう言葉をかけるべきだと思いますか?
 
 初めにぼくが 「雰囲気」 とか 「環境」 が大事だと強調していたのを思い出してください。どうですか? 答えが読めてきた人もいるんじゃないかな。
 「このチームにはお前が必要だ」――そう、これです。「この場面はお前だから託せるんだ」 「お前には期待しているから、次も頼むぞ」。チーム全体がポジティブな雰囲気のうえに、ボスである監督やコーチからこういう言葉をかけられると・・・たまらないよね。最近、ネット上の動画でぼくの 「激しすぎるハイタッチ」 が話題になってるけど、まさにあれですよ。ぼくの気持ち、わかるでしょ(笑)。
 
 チームや部署に必要とされるためにも、個人個人は先輩たちから学び、自分ならではのエッセンスを加えて、戦力強化につながる成長を続けるべきです。ぼくも巨人時代にその部署、その部署に槙原さんや河原さん、桑田さんや豊田さんのような、お手本になる先輩方がいました。皆さんの会社にもそういう人はいると思います。
その人から盗めるものは盗み、自分を伸ばす。上司や環境は、部下の背中を押してあげる一言をかける。野球もビジネスも、大事な根っこの部分は同じなんですよ。
 
 
 この記事が皆さんのお手元に届く頃には、20連戦に続いて13連戦の真っ最中・・・。しんどいわ~。ま、コツコツがんばります。応援してくださいね!

 執筆者プロフィール 

上原浩治 Koji Uehara

ボルチモア・オリオールズ投手

 経 歴 

大阪府出身(出生は鹿児島県)。東海大学付属仰星高校から大阪体育大学に進学し、大学3年時に日本代表に選出。1997年に出場したインターコンチネンタルカップ決勝では、当時国際大会151連勝中だったキューバから先発勝利をあげ、注目された。ドラフトで読売ジャイアンツに1位指名(逆指名)を受け、1999年に入団。ルーキーイヤーに20勝投手となり、最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の4冠を獲得し、新人王と沢村賞も受賞。翌2000年は肉離れのため登録抹消となるなど、ケガに苦しむシーズンを送るも、2002年に再び17勝をあげ、優秀選手賞を受賞。2004年にはアテネオリンピック野球日本代表に選出され、銅メダル獲得に貢献。2006年のワールド・ベースボール・クラシックでも日本代表のエースとしてチームを優勝に導いた。2009年にボルチモア・オリオールズに入団。ベテラン投手の一人としてチームを牽引している。

 
 
 
 

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