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コロナ禍のオフィスづくりをどう考えるべきか vol.4 ICTの活用方法がコロナ禍のオフィスづくりの鍵!

ビジネス コロナ禍のオフィスづくりをどう考えるべきか vol.4 ICTの活用方法がコロナ禍のオフィスづくりの鍵! コロナ禍のオフィスづくりをどう考えるべきか 株式会社翔栄クリエイト 執行役員・ビジネスクリエイション事業部 事業部長 河口英二

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健康、環境、経済など、分野をまたいで多角的に事業を展開する株式会社翔栄クリエイト。同社のビジネスクリエイション事業部の河口英二部長は今年2月末、『経営者のための経営するオフィス』を出版した。同事業部が推進するオフィス空間の有効な活用法について触れた同著と、20年の実績を有する同社の空間コンサルティングの効果について、お話をうかがったインタビューの最終回。
 
――書籍の帯には「コロナ禍だからこそ読んでいただきたい」と記されていますね。
 
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YouTube「翔栄クリエイト河口の空間創りチャンネル」
ええ、今、多くの経営者の方々が、迷っていると思っています。何に迷っているかというと、テレワークを今のやり方のままで続けてよいのかということにです。感染が拡大する前から、社会的には「テレワークを進めましょう」という話だけはありました。でも、まったく普及していなかったですよね。
 
私が多くの経営者の方々とお話しした実感としては、「社員は、ある程度は管理者の目の届く範囲で仕事をしてもらわないとだめだ。きっとサボるだろう」が本音であることが多く、なかなかテレワークに踏み切れなかったということだと思います。まぁわかりますよね(笑)。
 
 
――経営者として見れば、そう思うのも無理はないかもしれないですね(笑)。
 
ところが昨年、緊急事態宣言が出たタイミングで実際にテレワークを実施してみたら、意外とみんなしっかりと働いていて、「テレワークでも意外と仕事は回る!」と感じ、また、社員からは「テレワーク嬉しいです」という声があがっている。仕事が問題なく回っていて、社員も望んでいるならテレワークを否定する理由もない、ということでテレワークを進めている会社が、とても多いと感じています。
 
ただ私は、社員が仕事をうまく回してくれているのと、組織がうまく動いていることとはまったく別物じゃないかと思うんです。社員数とそのとき請け負っている仕事量が常にリンクしているわけではありませんし、例えば社員が10人いたとして、半分の社員がものすごく頑張っていれば仕事が回ってしまうことってありますよね。でも、残り半分の人たちは遊んでしまっている可能性がある。その状態が続いたとして、1、2年後、会社は順調に成長しているでしょうか?
 
それに、今はコロナ禍以前からオフィスで一緒に仕事をしていた、気心が知れた者同士がテレワークをしているからいいかもしれません。しかし、今後テレワーク採用で、会ったこともない社員が会社全体の半分以上を占めたときに、例えば経営者の方が「これから新規事業をやろう!」と言ったとして、どれだけの社員がモチベーション高くついてくるのか。これ、なかなか難しいと思うんです。でも、そこに目を向けていない経営者の方が多いと感じています。
 
――それはこれまでの回でもおっしゃっていた、オフィスをどうするかというよりも、人をどうするかという話ですよね。
 
はい。どのようにすれば社員が新規事業に共感してくれて、どのようにすれば、それに向かってモチベーションを上げてくれるかという話ですね。必要もないのに社員が当たり前のようにオフィスに来る必要はなく、社員が自ら仕事をする場所を選び、伸び伸び働いてほしいと思っている経営者は多いと思います。
 
しかし、みんな自由に仕事ができる環境でありながら、会社としては結束が固まっている状態をつくるのは、なかなか難しいですよね。当社はそこに導くようなご提案をしています。
 
――みんなが顔を合わす機会が少ないということは、職場環境に感情、第2回でお話に出た「システム1」に訴える仕組みをつくるのが大変ですよね。オンラインでは難しいという印象があります。
 
そうですね。書籍にも書かせていただいたように、「システム1」に訴えかけるという点では、オンラインはリアルには敵わないと思いますので、まずは、「この仕事の時だけはオフィスに集まる」など、ルールをつくるのが良いと思います。そうすることで、オフィスに集まる機会ができますので、そこで「システム1」を刺激する空間をつくっておけば良いということです。その時オフィスで何をすべきかは、書籍で紹介させていただいた通りです。
 
しかし、これからは、テレワークとオフィスワークのハイブリット時代ですので、オンラインにも目を向ける必要がありますね。そこでこれから大事になるのは、ICTの使い方だと考えています。
 
例えばテレビ会議システム一つを例に取ったとしても、あれは会議のときにつなぐものですから、話し合いが終わったら切ってしまう。そういうものですよね。それは距離に関係なく、顔を見ながら会話ができるので、とても利便性は高いですが、感情を動かす使い方とは言えないと思います。
 
私が以前関わらせていただいた会社のオフィスでは、ちょっと変わった使い方を提案させていただきました。テレビ会議システムを本社と支社とで常時接続し、オフィスを引きで撮影し、それをタイマーで早朝にオン、夜遅くにオフになるようする。音声はなし。
 
勝手に映像が映っているだけなので、社員はさほどそれを気にしません。しかし、例えばある社員が出張のため朝7時に仕事道具を取りに本社に出社した時に、支店の映像に、すでに誰かが働いている姿が映っていたら、「〇〇さん、朝早いな~」と思うこともあるでしょう。また、仕事が忙しく自分だけ毎晩残業している時、同じく支店でも毎晩残業している人が映っていたとしたら、お互いに会話はなくても何かを感じますよね。
 
実際に顔を合わせた時、お互い何も言わなかったとしても、この2人の間には何らかの心のつながりができていそうですよね。これは感情が動くICTの使い方ですね。
 
――単にオフィス同士を可視化するだけではなく、それをどう使うか。テレビ会議システムを使って、人の感情的な部分に訴えられるような活用と言えますね。
 
そうですね。この書籍にも書いたように、結局人の大半は「システム1」で動くんですよ。ですからこれからは、テレビ会議システムだけでなく、ICTを、社員たちの感情が動くようにどう使っていくかが重要になってくるということです。企業ごとに社風、組織、経営者の考え、オペレーションは異なることから、「システム1」が社員にどのように影響するかも企業ごとに異なります。そのため、コロナ禍でテレワークをどうするかという問題の根幹も、企業ごとに異なるということです。
 
 ――つまり、問題の根本的部分を顕在化させて、それを踏まえたオフィスづくりを提案していく御社のやり方は、コロナ禍でもさほど変わりがないということですね。
 
そう思います。空間を使って経営者が望む方向に会社の変化を促すという点では、何も変わらないですね。ただテレワークでオフィスがコンパクトになっている傾向の中で、また、社員がオフィスに来る機会も減る中で、今までと同じことをしようとしているので、以前より難しくなっていると思います。
 
当社は、コンサルティングをベースとした空間創りを提供しているため、コンペに参加するのが難しいです。しかし、ありがたいことに、「コンペをやめてでも翔栄さんに任せるよ」と言ってくださるようなお客様が多いんです。ですから、絶対失敗できないじゃないですか。こちらも真剣になりますよね。それで結果的に「本当に会社が変わってきたよ」とご評価をいただけたら本当に嬉しいですし、ものすごくホッとします(笑)。
 
――ある意味では、その会社と、そこで働く人たちの人生を左右している部分もありますからね。
 
そうですね。以前「ある意味恩人です」と言われたこともあります。責任が重い分、モチベーションも上がりますよね。私たちは、経営者からヒアリングをさせていただく際、プロジェクトメンバーも参加させていただいています。私が聞いた話を伝えるのと、お客様から直にお話を聞くのとでは、まさに「システム1」への伝わり方が変わりますよね。当然、仕事への意識も変わってくるわけです。

「空間で会社を変える」という手法がピンと来ない方も多いと思っています。書籍には、空間の変化をきっかけに、会社が変化していった事例を生々しく記していますので、ぜひお読みいただいて、「本当に空間で会社は変わるんだ!」ということを実感していただきたいです。そして、もっと気軽に空間を活用していただけるようになったら嬉しく思います。その際は、気軽にご相談いただけると光栄です。
 
~了~

コロナ禍のオフィスづくりをどう考えるべきか 
~『経営者のための経営するオフィス』著者、翔栄クリエイト・河口事業部長に聞く~
vol.4  ICTの活用方法がコロナ禍のオフィスづくりの鍵!
 
(取材2021年4月)
 

 著者プロフィール  

河口 英二 Kawaguchi Eiji

株式会社翔栄クリエイト 執行役員・ビジネスクリエイション事業部 事業部長

 経 歴  

1970年愛知県生まれ。人材サービス会社にてアウトソーシング事業で経験を積んだ後、2009 年、事業コンセプトに共感し、株式会社翔栄クリエイトに入社。同年、執行役員および「行動科学に基づく空間創り」を行うビジネスクリエイション事業部事業部長へ就任する。以降、10年以上にわたり空間クリエイト事業で数々のプロジェクトに携わり、企業の業績向上支援となる空間づくりを手がける。数々のセミナーにも登壇、講演数は 450 回を超えるほか、YouTube配信なども展開中。

 翔栄クリエイト河口の空間創りチャンネル 

https://www.youtube.com/channel/UC3eOjbw-VQMdf9-QKKl6RQA

 株式会社翔栄クリエイトビジネスクリエイション事業部 

https://syouei.net/

 書籍情報 

経営者のための経営するオフィス
著者 河口英二
出版社:株式会社ファーストプレス
出版日:2021 年 2 月 22 日
価格:¥1500 (税抜き)

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