日本商工会議所発行の新聞『会議所ニュース』紙面1面で
4月から連載が始まります
思い返してみれば、二刀流で商業経営コンサルタントを始めてからこの23年間、確かに、講演もセミナーも地方の商工会議所にばかり行ってきました。だから昔は他のセンセイたちからよく言われました。「佐藤さん、地方なんかやめとけば? 都内ならば1日で2、3講演できて効率よく稼げるよ」って。あと、「事務所の住所を名義上都心にすると、それだけで講師料も今の倍は請求できるよ」と、よく諭されたものでした。
でも、私は聞き流していました。どの商工会議所も決して潤沢ではない予算の中で呼んでくれていること、加盟企業さんたちも決して儲かっているところばかりじゃないことはよく知っていたから。そして私の使命は助けを求めている地方の商業者のためにやっていることがわかっていたから。
「山間地のショッピングセンター」
山梨県北杜市でエキサイティング
私としては、地方に行くのは純粋に、行ったことがない土地に行ってみたいからでもあります。時刻表を片手に日本地図を眺めていると、普通の旅行であれば通り過ぎるような場所にも駅があり町があります。それを見て「こんなところにも人が住んでいるんだなぁ。こんなところでも地域住民のために商売をされている、すごいなぁ」と感じます。その現地に実際に降り立って未知の人たちと未来の話ができるのだから、こんなエキサイティングなことはありません。
また、そういう町も特にここ10年で変わったなと感じるのは、昔は田舎に行くと、こちらが話す言葉というか、概念がわからない人がたくさんいたけど、今はもう大体の人は大卒で、都会に出た経験があるから、どんな僻地に行っても話が通じるんですよね。また、ネットとスマホの普及で情報化社会になったせいもあるだろうけど、そもそも世代的に、日本全体がそういう状況になっている。そうすると今はもうどの地方でも、世間的なイメージと違い、上の世代が次の世代を苛めるとかマウントをとって押さえこむとかは案外ない。地方もどんどん変わっています。
ただ、若い世代は上の世代に比べればどうしても純粋培養というか温室育ちだから、例えるなら野生のライオンと動物園育ちのライオンぐらいの差がある。両者の価値観と思想と認識の違いをどう取り持つかという問題は大体どこに行ってもまだ残っている。
単に経営戦略を教えるだけじゃなく世代間の信頼関係を再構築することも自分の役割だと私は思っています。わざわざ上の世代のやり方を否定しなくていいし、下の世代を物足りなく思う必要もない。私が行けば大抵は両者のちょうど間の世代だから双方の言い分も強みもよくわかります。それらを双方に対して論理的に説明して一緒に考えてあげることができます。次はいつお呼びがかかるかわからないけど、その協同組合型ショッピングセンターがこれからどう変革するか、楽しみです。
面倒くさがりが普通の人の感覚
だから今後も日本中の地方に出向きます!
そうじゃなく学び方すらもわからない、仮にわかってももう一つエネルギーが足りなくて行動できない「面倒くさがり」の人たちが全国にたくさんいるわけです。「だったらこっちが行かないと!」という気持ちだったのでしょうね。また、当時は地方に来てくれる先生というと基本的に東京の情報を流しているだけだったので、「東京化が正しくて地方はダメ」という論法が多くて、そうではなく地方ならではの事情を知ったうえで地方型商業ビジネスを再構築していきたいという、私なりの信念も強かったから。
ここで誤解してほしくないのは、「面倒くさがり」は別に悪い意味じゃなくて、人は面倒くさがりなのが普通なんですよね(笑)。サトーカメラでもお客さんは基本的に面倒くさがりです。うちは写真プリントサービスを提供しています。店内にはマスキングテープ使い放題で写真アルバムをつくれるコーナーもあります。――けど、自分でつくることが好きな人は20%ぐらいで、店が写真アルバムをつくってくれるならそっちを利用したい人が残り80%です。カフェで飲んだコーヒーがおいしかったからといって自宅で豆を焙煎して淹れて飲む人は少ないのと一緒。それよりは、お金は払うから完成品のおいしいコーヒーを飲みたいと思うもの。
サトーカメラの企業理念は「想い出をキレイに一生残すために」です。一番の目的は自分やお子さんの想い出をキレイに一生残してもらうことです。写真プリントだけ、いわば部品だけ売って「後はイメージを発揮してご自分でご自由にどうぞ!」としても、「そう言われてもねぇ・・・」と思ってできないのが普通なわけで、店の役割としてそういう8割方の普通の人たちの感覚から離れてしまっては本末転倒です。
経営コンサルタントの仕事もそれと同じなんだろうな、と今振り返って思います。「東京まで学びに来ないほうが悪いんだ」とか、「教えたことを実行しないほうが悪いんだ」とか言って突き放していたら何も変えられない。変わらない。困っている商業者、企業、地域を時代に合わせて変革させることが私の使命であって、私が出向くことで目的が実現に近付くのなら、行かない理由はないんです。
今年は『会議所ニュース』の件で日本商工会議所とのつながりが強まりそうなので、今回はついこんな回想をしてしまいました。全国各地の商業者の皆さん! 商工会議所職員の皆さん! 今年も張り切って行きましょう! ヨロシク!
事務局 滑川ショッピングセンター
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■第7回SatocameMG栃木研修3月23・24日 平日2日間コース
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■日本商工会議所が高評価した佐藤勝人12作目の著書
「地域密着店がリアル×ネットで“全国繁盛店"になる方法」 (同文館出版)
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vol.76 地方を回り続けて23年。今年は総本山に登ります
(2023.2.15)
著者プロフィール
佐藤 勝人 Katsuhito Sato
サトーカメラ代表取締役副社長/日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント/作新学院大学客員教授/宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師/商業経営者育成「勝人塾」塾長
経 歴
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。
オフィシャルサイト
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