マイホームパパをやってはみたが
やっぱり仕事のほうが好き
そりゃそうさ。だって日本は儒教の国だから。「働かざる者食うべからず」の精神で何百年も生きてきたんだから。今世界には196の国があるけど、働くことが善とされる国は大きく分ければ日本と韓国、それにアメリカとドイツの4ヶ国だけだ。アメリカとドイツはプロテスタントの国だから儒教国同様、働くことが善とされる。日本は見ようによっては「選ばれた国」の一つなわけで、だから世界経済でも主役陣の一角を担っている。
なのに、今は政府が自ら旗を振って「働くことは悪」の国に変えようとしている。それってどうなの、と私は思う。コロナ対応で日本は「働き方改革」が強制的に進んだけど、私たちがそれで気付いたのは、「働き方改革」の負の面ばかりだったんじゃないか。無理しない、させない。ストレスのかかることはNG、プレッシャーをかけることも駄目。――それじゃ馬鹿ばっかり増えちゃうよ。人はプレッシャーとか負荷とかを跳ねのけるからこそ成長できるっていうのにさ。
働くことが悪だっていう国は生活の中心に宗教がある。プロテスタントだって宗教じゃないかと言われそうだけど、カソリックとは別物なんだ。イタリアとかフランスとかのカソリックの国では労働は罰。ペナルティ。我々が急に坊主頭にしたら「何か悪いことしたの?」と聞かれるでしょう。あの感覚なんだよ。
でも、我々はあの感覚が馴染まない。生活の中心に仕事があるからだ。仕事とはつまり人間だ。日本人は目の前の人間に喜んでもらうことが生活の中心になっている。世界の大多数の国では生活の中心に神がいて、神を喜ばせるために生きている。向き合っている相手が全然違う。
リアルのお客さんと向き合うように
オンラインでも向き合った
私がサトーカメラの実践からアドバイスするとしたら、リアルで接客販売していたときと違うことをしようとすると、かえって売れないと思います。サトーカメラでは9月下旬に宇都宮本店で中古カメラ市を開催しましたが、オンラインとリアル市が融合した形でやりました。担当はEC事業部の三品雅一キャプテン。
三品くんは元リアル店舗の店長まで務めた男。リアルにお客さんが商品のことで何を聞きたがるか、店に何を求めるかに関して精通しています。そのうえで、オンラインの撮影機材の前でもリアルのお客さんと向き合うときと同じように接客し、商品の説明をした。つまりオンラインでも「目の前の人間」と向き合っていた。だから売れる。
でも、彼も自粛期間中の5月にオンラインだけで始めた頃は、今回ほど売れませんでした。オンラインとリアルは別物という意識が強すぎたから。ただ、それから回を重ねるうちに、そうじゃないことが感覚でわかってきた。リアルのお客さんをわかっていれば、オンラインだからって特別違うことをしなくていい。そう悟って本能的に変えた――リアルのお客さんと向き合うイメージにした――から、9月下旬の中古カメラ市が、急遽2日間延長するほど大成功したわけです。
もし仮に、三品くんがもっと若くて、今の「働き方改革」の風潮のなかで仕事を覚えた人だったら、どうだったろう。5月のやり方のままなんとなく続けていたんじゃないか。そもそもキャプテンにもなっていなかったんじゃないか。そう考えると、日本人の本質を無視した「行き過ぎた働き方改革」の弊害がわかると思います。
何を止めて何を続けるか
私は成長につながることを続けたい
9月21日のFacebookにも書いたように、「人生とは何を続けていくかだ」とつくづく思う。何を続け、何を止めるか。何かを続けるためには何かを止めなきゃいけない。私は若い頃から、「何があってもこれをやりたい」と思う対象はなかった。ただ、その時々でベストと思う対象を選んできた。判断の基準になったのは「成長につながるか」だ。その意味でゴルフもスノボも、自分の成長につながるとは思えなかった。プロを目指せる才能があるわけじゃないのはわかっているから、そうすると趣味でやるぶんにはプレッシャーも負荷も大してかからない。自分の限界を広げようと思わない。つまり成長しない。だから止めた。
でも、仕事は相手がある。期待してくれる人に応えたいから自分の限界以上の挑戦をする。成長につながる。だから「仕事」を見つけたときは嬉しかった。「やった! 俺にもずっと続けたいと思える対象があった!」と思ったからだ。
昔の日本人は、本当の意味で国を変えてきたレベルの諸先輩方は、私が今日話したことを特に構えるでもなく、普通にやっていたと思う。「生活の中心は仕事ですか?」と聞いたら、「当たり前だろう。ここは日本だぞ」と答えたと思う。
日本人は働くことが好きだ。これは民族の根底にある感覚だ。それを否定して世界のその他大勢に合わせようとするからおかしな話になる。そうじゃなく逆に日本人の感覚を世界の基準として広めればいい。それぐらいの発想で、気持ちで、働こうじゃないか!
おかざき勝人塾リアル(第1回/全3回)
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vol.48 マイホームパパに飽きた今、日本人の「仕事好き」を再評価したい
著者プロフィール
佐藤 勝人 Katsuhito Sato
サトーカメラ代表取締役副社長/日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント/作新学院大学客員教授/宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師/商業経営者育成「勝人塾」塾長
経 歴
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に「地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法」(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。
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