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奈良~平安時代に中国から持ち込まれたことで始まったとされる日本茶の歴史。当時、お茶はとても貴重だったため、皇族や貴族などの上流階級の人しか飲むことができず、嗜好品というよりも薬として服用されていたこともあり、全国へ広がることはなかったそうです。日本でお茶が広まり始めたのは鎌倉時代。現在の抹茶のような利用方法が伝わり、茶道が誕生したとされています。江戸時代には嗜好品として庶民の間でもお茶が飲まれるようになり、私たちが日常的によく飲んでいる煎茶へとつながりました。このように、日本独自の発展を遂げ、日本を代表する文化の一つとなった日本茶。当連載Vol.2では、そんな日本茶を気軽に楽しんでもらうため、キッチンカーという形でさまざまなアレンジやアプローチを加えたメニューを提供する日本茶専門店、「日本茶に恋をして」をご紹介いたします。
 
 

「日本茶×クリエイティブ」を表現するために

 
好みに合わせて苦み・甘み・香りなどを調整し提供
好みに合わせて苦み・甘み・香りなどを調整し提供
京都市・大阪市を中心に土曜日限定で営業している日本茶専門店、「日本茶に恋をして」。店主の深澤良介さんは、普段はメーカーでマーケティングに携わり「商品やプロジェクトをたくさんの人に知ってもらい、欲してもらう」ことを仕事にしています。日本茶に興味を持ってからは、日本各地のお茶を取り寄せては、茶葉の量や温度、抽出時間など無限の組み合わせを試し、次第にその茶葉の一番おいしい飲み方を見つけることが得意になったそうです。以来、茶畑や製茶工場に足を運んだり、茶道を学んだりと、日本茶がライフワークとなった深澤さん。自分の好きなこと、得意なことを表現する方法として、たくさんの人に出会えるキッチンカーという形を選びました。
 
長い歴史を紡ぎ、現代では身近な存在となった日本茶。とはいえ、丁寧に急須で淹れたお茶を楽しむ人もいれば、市販のペットボトルのお茶を手軽に楽しむ人など、その接し方はまさに十人十色です。「日本茶に恋をして」では、お茶をよく飲む人もそうでない人も、いつ来ても何度来ても、その時々の季節やイベントごとに楽しんでもらえるよう、日本茶を使ったさまざまな工夫を加えたメニューを提供しています。
 
 

味覚・嗅覚・視覚、さまざまな角度から楽しめるメニューを展開

 
例えば、抹茶、煎茶、ほうじ茶の三種のゼリーとソーダの爽やかさが特徴の「日本茶ゼリーのソーダ」は、抹茶の緑色、煎茶の黄色、ほうじ茶の琥珀色が透き通ったソーダと相まって、視覚、そして日本茶の香りによる嗅覚からも楽しむことができる一品です。他にも、ウイスキー特有の鼻に抜けるスモーキーな香りとまろやかさを感じられる「ウイスキー樽材で燻製した和紅茶」もおすすめ。そして、日本茶とともに注文したいのが、北海道産の豆が入った塩豆大福に、バターをぶ厚くカットしてクラッカーとはさんだ「バターをはさんだ豆大福」です。塩豆大福の甘じょっぱさとバターのコク、クラッカーの香ばしさと食感が、一緒にお茶を飲むことでお茶の甘み・旨み・苦み・渋みが豆大福と調和し、口の中が幸せいっぱいになります。
 
「日本茶ゼリーのソーダ」
「日本茶ゼリーのソーダ」
「ウイスキー樽材で燻製した和紅茶」
「ウイスキー樽材で燻製した和紅茶」
「バターをはさんだ豆大福」
「バターをはさんだ豆大福」
 
開業前は、キッチンカーには冷暖房やくつろげるほどのスペースがなく、快適な空間を提供できないことにとても不安を感じていたそうです。ですが、「キッチンカーで楽しむ日本茶」という非日常体験こそが、今では大きな魅力に変わっていると言います。春は鳥のさえずりをBGMに、夏は蝉の声を聞きながらアイスドリンクで涼む。秋にはイチョウの落ち葉が足元を染め、冬は近所の子どもがつくる雪だるまが看板代わりにお客さんを迎える。このように、固定店舗にはない、最適な季節感や空気感を感じながら日本茶を楽しめるのも、「日本茶に恋をして」ならではと言えますね。
 
夏にぴったり「アイス煎茶」
夏にぴったり「アイス煎茶」
和と洋の融合「アイス抹茶ラテ」
和と洋の融合「アイス抹茶ラテ」
水出しほうじ茶「琥珀」
水出しほうじ茶「琥珀」
 
 

茶道の心得とキッチンカーの特性

 
抹茶ラテで気軽に茶道体験を
抹茶ラテで気軽に茶道体験を
京都の出店場所では、近くに京都御所や二条城、晴明神社など観光客に人気のスポットが豊富。コロナ禍が明け、海外からの観光客も増えたこともあり、抹茶ラテを注文された際には自身で抹茶を点てる茶道体験をしてもらうなど、観光地ならではのチャレンジも行っているそうです。
 
茶道というとかしこまった印象があり、作法が細かくハードルが高いと思う人も多いかもしれません。ですが、体験という形で気軽に触れられることと、固定店舗のような入り口がなく、ふらっと立ち寄れるキッチンカーの特性が合わさることで、茶道を身近に感じることができます。
 
茶道には、一度きりの出会いや瞬間を大切にし、相手に対し最善を尽くしながらお茶を点てる、“一期一会”という言葉があります。この一期一会の心得と、さまざまな場所で出店でき、多くの人に出会えるキッチンカーの特性は、とても調和していると感じました。春夏秋冬で違った雰囲気や空気感を味わうことができ、工夫を凝らしたメニューで気軽に和の文化に触れられる「日本茶に恋をして」。ぜひ一度、日本茶の風情や奥深さを感じながら、五感で楽しむ素敵な体験をお試しください。
 
 
日本茶に恋をして
https://www.nihonchanikoioshite.com
Instagram
https://www.instagram.com/nihonchanikoioshite
 
個性豊かなキッチンカー
Vol.2 気軽に日本茶を楽しめる、日本茶に恋をして
(2024.7.10)

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