殺伐としたビジネスシーンに革命を
～かわいいフィンランド語とお仕事事情～

駐日フィンランド大使館・参事官のミッコ・

コイヴマー氏の著書『フィンランド流イクメン

MIKKOの世界一しあわせな子育て』（かまくら

春秋社刊）から、育児事情もうかがえる

　大人にも人気の高いキャラクター『ムーミン』。昨年2014年は作者であるトーベ・ヤンソン氏の生誕100周年、今年は『ムーミン』出版70周年とあって、注目されていますよね。さて、ムーミンの国といえば、フィンランド。日本では、サウナ発祥の地のイメージを抱いている人も多いと思いますが、この数年、フィンランド語が「かわいい！」と話題になっていることをご存じですか？　

　発端は、大使館初のソーシャルメディアキャラクター“フィンたん”でも知られているフィンランド大使館のツイッターで紹介されたことから。「なう」は「にゅっと」、「こんにちは」は「もい」、「乾杯」は「きっぴす」など、ひらがなだと余計にかわいい単語ばかりなんです！　・・・もしかして、会話にフィンランド語を取り入れれば、殺伐とした職場の雰囲気もゆるフワになるのでは？　そうなれば、仕事の人間関係も円滑になるはず。そういえば、フィンランドは育児大国。男性の育休取得率が高いうえに女性もバリバリ活躍し、皆さん仕事と家庭をしっかり両立しているんだとか。つまり・・・仕事の成功のカギはフィンランドにある！？　せっかくなので、フィンランド語やお仕事事情についてフィンランド大使館にお邪魔してお聞きしてきました！

フィンランド大使館のSNSキャラ・フィンたん。

twitterのフォロワーは12万人を超える人気

フィンランド語は親しみやすい

　広報の方によると、フィンランド語には、日本語と似ているのに違った意味の単語も多いとのこと。例えば「木の家」は、フィンランド語で「ぷーたろー」、「～だから」を意味する単語は「せんたっき」、「残る」は「やーだ」、そして多くの会社でも取り入れられている「通行証」は「くるくるぱー」（あくまでもフィンランド語ですよ）と聞こえるのだとか･･･！　ちなみに、フィンランド人の多くが、アシカイネンさんやアホネンさんのように「～ネン」という姓を持っているそう。関西弁みたいでめちゃくちゃ親しみやすい！

さっそく使ってみようフィンランド語

　さて、実際にビジネスシーンでもさらりと使えるフィンランド語をご紹介。例えば、上司が部下を注意した後の気まずさを和らげてくれそうなフィンランド語。部下に「コラ！」と雷を落としたくなった時は「あら！」と言ってみましょう。これは子どもに「ダメ！」と注意する時にも使うようですね。日本人的に、叱られたダメージは軽いかもしれませんが、急に「あら！」なんて言われた人は、思わず「おほ！」です。「おほ」とは、フィンランド人が驚いた時によく使う言葉。「あら！」「おほ！」･･･ちょっと楽しそうですが、「あら！」と言われた人は注意をされているわけなので、ちゃんと反省しましょう。じゃないと余計に叱られますので。

　会話が弾めば、仕事がスムーズに運ぶことってありますよね。聞き上手はあいづち上手とも言うし、フィンランド流あいづちをマスターして損はなし。「そうだね」という場合の「にーん」は、これまた非常にかわいいので、言われた相手はひそかに萌えてくれるかも。この他「よーよー」や、「そうなんだ！」というニュアンスの「あいやー！」などバリエも多彩。ちなみに、フィンランド語は日本語のように上司部下の間に敬語がないので、挨拶も「やぁ」というニュアンスの「もい！」「へい！」でOK。挨拶とあいづちをフィンランド語にするだけでも、職場の雰囲気が変わることは間違いない（いきなり上司に使うと驚かれるので、事前に共有をお薦め）と思います。

家族・友人・クライアントと。サウナは大切なコミュニケーションの場

フィンランド人の仕事術に学ぶ！

　気になったフィンランドのお仕事術についても、教えていただきました。日本との違いは、まず残業がない、さらに夏の休暇は1ヶ月しっかり休む点。オンオフのメリハリがある分集中して仕事に打ち込めるというのは納得です。仕事の環境も特徴的で、パーソナルスペースが確保されている他、驚いたのは、立ったままデスクワークをする人が多いこと！　座るとリラックスしてしまうので、立ったままのほうが効率的らしいですよ。なので、デスクも可動式で高さを調整できるそう。また、大きな会社には必ずサウナがあり、商談や接待にも利用されているとか！　フィンランドのコミュニケーションに、サウナは必要不可欠なんですね。確かに裸の付き合いで距離感も縮まるし、日本人の皆さんも試してみては・・・？

　プライベートを大事にしながら仕事もきっちりこなし、さらにはエアギター選手権や携帯投げ選手権といったユニークな世界大会を繰り広げるユーモアも持ち合わせるフィンランドのお国柄。多彩な魅力を持つフィンランドに興味を持った人は、大使館のSNSやホームページもぜひチェックしてみてください。日本での文化イベントもたくさんありますよ。かわいいフィンランド語と仕事術を、ぜひライフスタイルに取り入れてみましょう！　