ジビエのおいしさと地域の魅力を伝える

岐阜県郡上市を拠点に愛知県や福井県などでジビエでつくったタコスを提供している岡崎修一さんと岡崎美雪さん夫婦。修一さんは以前、福井市の牧場で働いていた際に猪の獣害を目の当たりにし、ジビエに興味を持ち加工場のある郡上市西和良村へ地域おこし協力隊として赴任しました。約3年の間に地域の人たちから狩猟や農業など多くのことを学ぶ中で、「お世話になった方々に恩返しがしたい」という思いが強くなり、地元の食材を使った事業を行うべく2021年に「祠」をスタート。お客さんを待たずに自ら出向くことができるキッチンカーの特性を利用し、攻めの姿勢で村の魅力をはじめジビエのおいしさや文化的側面、また自身もハンターであることから、命をいただく大切さをさまざまな地域で発信しています。
ワンハンドで食べられる手軽さと気軽さ
ジビエとの相性も抜群のタコス
ジビエ料理と聞くと猪肉の牡丹鍋や鹿肉の紅葉鍋などが有名ですが、あまり身近なイメージはないかと思います。また、臭い・固いといった固定観念を持つ方も少なくありません。しかし、日本でも馴染みのあるタコスはワンハンドで気軽に食べることができますし、キッチンカーという形で提供することで、ジビエをより身近に感じられます。そして、「祠」で扱う鹿肉はジビエ専門のプロがいる加工場「スタジオジビエ西和良」から仕入れており、丁寧に加工された鹿肉は臭みがなく、ジビエに抵抗がある人でも安心です。脂が少なく非常にヘルシーな面、食感を出すのが難しいものの、メキシコの調理法に倣いラードで食味を調節している点もおいしさの秘訣だと言います。
タコスの他にもコーヒーにもこだわっていて、カフェで勤めていた経験を持つ美雪さんがメニューを開発しています。コーヒーは日本だけでなく全世界共通の飲み物なので、おいしいコーヒーをきっかけにいろいろな人との出会いを大切にしたい――。そんな思いを込めて、味の強いタコスに負けない風味などを重視し、コーヒー好きの方にはもちろん、コーヒーが苦手な人でも飲みやすいよう、さまざまな豆のブレンドを試行錯誤しています。
地産地消で地域活性を目指して
地元の食材であるジビエが誇れるものだと再定義し、地域を盛り上げ、且つ動物たちの命をつないでいく――。ジビエをもっと身近に、気軽に楽しめる「祠」の今後に注目です。
https://hokora.base.shop
https://www.instagram.com/hokora_gujo
Vol.4 ジビエをもっと身近に――祠
(2024.9.11)