近年、鹿や猪といった野生動物による農作物の被害が深刻化していて、その被害額は160億円前後とされており、過去と比べると減少傾向にあるものの、依然として高い金額で推移しています。一方で、農作物の被害を食い止めるため捕獲された野生動物の約90%は、利用されることなく処分されてしまうのが現状です。そこで、これまで厄介者とされてきた有害鳥獣をプラスの存在へと変え、生命倫理の観点からも処分の割合を減らす方法として注目されているのがジビエ事業です。当連載Vol.4では、地産地消や地域活性を目的とし、農業への獣害対策などをポジティブに解決すべく、キッチンカーという形でジビエをより手軽に食べてもらえるようタコスとして提供している「祠(ほこら)」をご紹介いたします。
岐阜県郡上市を拠点に愛知県や福井県などでジビエでつくったタコスを提供している岡崎修一さんと岡崎美雪さん夫婦。修一さんは以前、福井市の牧場で働いていた際に猪の獣害を目の当たりにし、ジビエに興味を持ち加工場のある郡上市西和良村へ地域おこし協力隊として赴任しました。約3年の間に地域の人たちから狩猟や農業など多くのことを学ぶ中で、「お世話になった方々に恩返しがしたい」という思いが強くなり、地元の食材を使った事業を行うべく2021年に「祠」をスタート。お客さんを待たずに自ら出向くことができるキッチンカーの特性を利用し、攻めの姿勢で村の魅力をはじめジビエのおいしさや文化的側面、また自身もハンターであることから、命をいただく大切さをさまざまな地域で発信しています。
ワンハンドで食べられる手軽さと気軽さ
ジビエのおいしさと地域の魅力を伝える
岐阜県郡上市を拠点に愛知県や福井県などでジビエでつくったタコスを提供している岡崎修一さんと岡崎美雪さん夫婦。修一さんは以前、福井市の牧場で働いていた際に猪の獣害を目の当たりにし、ジビエに興味を持ち加工場のある郡上市西和良村へ地域おこし協力隊として赴任しました。約3年の間に地域の人たちから狩猟や農業など多くのことを学ぶ中で、「お世話になった方々に恩返しがしたい」という思いが強くなり、地元の食材を使った事業を行うべく2021年に「祠」をスタート。お客さんを待たずに自ら出向くことができるキッチンカーの特性を利用し、攻めの姿勢で村の魅力をはじめジビエのおいしさや文化的側面、また自身もハンターであることから、命をいただく大切さをさまざまな地域で発信しています。
全国の田舎を取り巻く問題である過疎化や少子化、人手不足。「祠」の拠点である西和良村も山林が90%以上を占める地域で、田舎ゆえの悩みや苦労が絶えません。しかし、そんな地域だからこそ、都会の人や若い人たちが見たことも触れたこともないような魅力が数多く存在します。「何もない村」という田舎の人たちからよく聞く言葉。長くその地に住んでいるゆえに当たり前に感じてしまっている魅力を、地元の食材であるジビエで伝えていき、地域の誇りを再認識してもらいたいと、岡崎さん夫婦は考えています。
ワンハンドで食べられる手軽さと気軽さ
ジビエとの相性も抜群のタコス
タコスはアメリカ西海岸などの外食文化において、ハンバーガーと双璧を成すほどの巨大コンテンツです。具材は豚や牛のひき肉が一般的ですが、ルーツであるメキシコではキノコやサボテン、魚やヤギの内臓など多種多様で、その何と合わせてもおいしいという懐の深さが、ジビエとの相性が良い理由だと修一さんは考えています。
ジビエ料理と聞くと猪肉の牡丹鍋や鹿肉の紅葉鍋などが有名ですが、あまり身近なイメージはないかと思います。また、臭い・固いといった固定観念を持つ方も少なくありません。しかし、日本でも馴染みのあるタコスはワンハンドで気軽に食べることができますし、キッチンカーという形で提供することで、ジビエをより身近に感じられます。そして、「祠」で扱う鹿肉はジビエ専門のプロがいる加工場「スタジオジビエ西和良」から仕入れており、丁寧に加工された鹿肉は臭みがなく、ジビエに抵抗がある人でも安心です。脂が少なく非常にヘルシーな面、食感を出すのが難しいものの、メキシコの調理法に倣いラードで食味を調節している点もおいしさの秘訣だと言います。
タコスの他にもコーヒーにもこだわっていて、カフェで勤めていた経験を持つ美雪さんがメニューを開発しています。コーヒーは日本だけでなく全世界共通の飲み物なので、おいしいコーヒーをきっかけにいろいろな人との出会いを大切にしたい――。そんな思いを込めて、味の強いタコスに負けない風味などを重視し、コーヒー好きの方にはもちろん、コーヒーが苦手な人でも飲みやすいよう、さまざまな豆のブレンドを試行錯誤しています。
祠
https://hokora.base.shop
Instagram
https://www.instagram.com/hokora_gujo
ジビエ料理と聞くと猪肉の牡丹鍋や鹿肉の紅葉鍋などが有名ですが、あまり身近なイメージはないかと思います。また、臭い・固いといった固定観念を持つ方も少なくありません。しかし、日本でも馴染みのあるタコスはワンハンドで気軽に食べることができますし、キッチンカーという形で提供することで、ジビエをより身近に感じられます。そして、「祠」で扱う鹿肉はジビエ専門のプロがいる加工場「スタジオジビエ西和良」から仕入れており、丁寧に加工された鹿肉は臭みがなく、ジビエに抵抗がある人でも安心です。脂が少なく非常にヘルシーな面、食感を出すのが難しいものの、メキシコの調理法に倣いラードで食味を調節している点もおいしさの秘訣だと言います。
タコスの他にもコーヒーにもこだわっていて、カフェで勤めていた経験を持つ美雪さんがメニューを開発しています。コーヒーは日本だけでなく全世界共通の飲み物なので、おいしいコーヒーをきっかけにいろいろな人との出会いを大切にしたい――。そんな思いを込めて、味の強いタコスに負けない風味などを重視し、コーヒー好きの方にはもちろん、コーヒーが苦手な人でも飲みやすいよう、さまざまな豆のブレンドを試行錯誤しています。
地産地消で地域活性を目指して
拠点である西和良村は交通の便が決して良いとは言えないものの、自由に移動できるキッチンカーというスタイルを選んだことで、そのデメリットも克服。さらにはさまざまな場所でジビエの魅力やおいしさを伝えることができるなど、多くのメリットがあります。
地元の食材であるジビエが誇れるものだと再定義し、地域を盛り上げ、且つ動物たちの命をつないでいく――。ジビエをもっと身近に、気軽に楽しめる「祠」の今後に注目です。
地元の食材であるジビエが誇れるものだと再定義し、地域を盛り上げ、且つ動物たちの命をつないでいく――。ジビエをもっと身近に、気軽に楽しめる「祠」の今後に注目です。
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個性豊かなキッチンカー
Vol.4 ジビエをもっと身近に――祠
(2024.9.11)
Vol.4 ジビエをもっと身近に――祠
(2024.9.11)