徹底した準備・研究・観察が
成績を残す選手と監督の共通項
2000年に阪神タイガースに入団して以来、2009年の引退まで9年間にわたり活躍し、チームに貢献してきた赤星憲広さん。入団1年目から5年連続盗塁王を獲得するという快挙を達成し、盗塁時のスピードは野球界で注目されてきた。引退後の現在は、かつての自身の経験をもとに、野球解説者として野球界を冷静に見ている。そんな赤星さんに、連続して盗塁王を獲得できた秘訣や、チームを率いてきた歴代監督の共通点について話してもらった。また、引退してしばらくは葛藤を抱えていたという、その心中についても語ってくれた。
徹底した準備と研究で結果を残した
実はプロになった当時は、周りの選手に比べて身体も小さかったし、僕より足が速い人なんて他にもいるだろうと思って、自信がなかったんです。周りからも、「よく赤星がプロになれたよな」とか、「プロになっても代走しか無理だろ」なんて言われていたくらいで。それでまず1年目は、苦手なバッティングの技術を根本から向上させることに集中しました。その甲斐あって、プロで最低限通用するレベルまではいったんですが、実際には自分よりも身体の大きい選手や技術的にもはるかに素晴らしい選手たちと張り合わないといけません。そこで僕が力を入れたのが、入念な準備と研究でした。
まず僕が研究したのが、ピッチャーの配球。打つにしろ盗塁するにしろ、配球を読めるか否かが重要なので、バッターボックスに立ちながら相手が得意なボールをどのタイミング、どのカウントで投げるのかをよく見ていました。いざ打って塁に出た後も、僕がランナーの時にどんな配球が多くなっているのかを観察していましたね。そうすればおのずと、配球を見た瞬間にどのタイミングで走ったらいいのかが見えるようになるんです。特に2番、3番、4番バッターのデータまで頭に入れておくことで、盗塁の準備を万全にしていました。同時に、バッティングを向上させるために自分自身のデータを参考にしたうえで、練習をしていましたね。そうした準備と研究をもとに、さらに2番から4番バッターと事前に打ち合わせをすれば、相手の裏をかくこともできる。序盤でそれができれば、相手チームのその日1日の想定を狂わせることも可能なわけです。
それだけの準備と研究が万全の状態でできていた時は、やはり自信を持って試合に臨めましたし、最高のパフォーマンスが発揮できました。だからこそ引退をするまで、それなりの結果を残せてきたのだと思います。