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◆山あいにたたずむ一軒宿

 
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山あいの道に館の門柱が忽然と現れる。
玄関はさらにこの奥だ
 弘法大師による開湯伝説を持つ湯の中でも、ここは、秘湯のイメージに最も近いといえる温泉ではないでしょうか。群馬県みなかみ町の 「法師温泉 長寿館」。三国山に近い、標高800mの山あいにたたずむ一軒宿です。
 宿の歴史は古く、今も残る本館が建てられたのは明治8年のこと。現在は渡り廊下でつながれた別館と 「薫山荘」「法隆殿」 を合わせ4つの建物からなり、全37室、最大130人が宿泊できる規模となっています。
 
 本館に入ると、すぐ左手に囲炉裏があり、季節を問わず薪がパチパチと小気味いい音を立てて燃えています。茶釜にはお湯がしゅんしゅんと沸き、訪れる旅人を歓迎してくれているかのよう。この茶室にはいつとはなくお客様が集まり、見知らぬ者同士、ひとときの会話を楽しんでいる様子が見られます。
 本館と別館は、国の登録有形文化財にもなった名建築。与謝野晶子、直木三十五、川端康成など、法師温泉に魅了された文人墨客も数多く訪れており、ギャラリーには彼らの残した歌や書画が展示されています。
 
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法隆殿にある特別客室。最高ランクの客室には暖炉まで備わっている
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本館では与謝野晶子が逗留した部屋が現在もなお使われている
 

◆ここでしか味わえない地酒

 
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山の幸づくしの夕食。すべての食材にこだわりがある
 長寿館の食事は、いくつものこだわりに満ちています。食の基本となる水は、宿のそばを流れる法師川の最上流から取水した自家水源の清水。米は、経営者の先祖が新潟県南魚沼市出身という縁もあり、契約農家で収穫された魚沼産コシヒカリのみで炊いています。
 肉は赤城牛、榛名豚、風雷鳥といった群馬県産の銘柄。野菜も極力、県内産や町内産の新鮮なものを使用しているそう。山の宿ならではの川魚も交え、季節ごとに最もおいしい調理法で提供してくれます。
 左党には見逃せないのが、数々の地酒をそろえた日本酒です。中でも 「秋月 純米吟醸」 は、酒米の王者と呼ばれる山田錦を50%まで削り、群馬で開発された酵母「風酵母」で仕込んだ長寿館オリジナルの純米吟醸酒。冷やしてスッキリ、常温でまろやか、燗でふくらみのある味わいが楽しめます。その落ち着いた香りとキレは、まさに通好み。全国新酒鑑評会で金賞を受賞したのもうなずける銘酒なのです。
 
 
 
 

 

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