自分の価値観だけが絶対じゃない
いろいろな視点を使いこなそう

でも、それで一概に心配しなくてもいいんじゃないか。私の年末の過ごし方だって、はた目には仕事もせず昼間っからパソコンゲームに熱中している大人と一緒だ。ゲームばかりで不安になる気持ちもわかるけど、もしかしたら息子さんは将来eスポーツで優勝するような逸材かもしれない。年収何億も稼ぐプロゲーマーになるかもしれない。そう思ったから、「お前だって子どもの頃はサッカーしかやってなかったじゃん」と突っ込んだら、彼は笑っていたけどね。
これはビジネスでも言える話で、要は「自分の価値観だけで物事を見てはダメ」ということなんだ。例えば私の場合、経営者でありながら、お客さんの視点も常に意識している。むしろ経営者だからこそ顧客視点を忘れないようにしている。そうすると、カフェでノマドワーカーをしていても気付きが山ほどある。「店内での勉強や仕事は90分以内にしてください」と出ている貼り紙は、利用する客の視点からは「そんなこと言うなら最初からサードプレイスなんて宣言するな」と、もっともなツッコミができる。
でも経営者視点に立てば、店の回転率を下げる行為はご遠慮願いたくなるのも当然だ。そうなったとき、両方の視点がわかる人は「どうやったら両方の要望が満たせるか」と考える。でも、意外にこれができない経営者が多い。それであっさりコンセントをガムテープか何かで塞いで、エアコンの温度を寒くしてお客を追い出そうとする。それじゃ駄目だ。
TKGの固定観念を吹き飛ばす
最高の卵かけご飯に出合った
その会社自体は前から人づてに知っていた。養鶏用と養豚用の餌の卸売りから始めて、今は卸先の養鶏場から卵を仕入れて小売に卸す事業をメインにしている会社だ。近年はカフェもオープンさせて、「餌からこだわったおいしい卵」でつくる一杯500円の卵かけご飯を看板商品にしている。
正直に言うと、カフェに行って自分が食べるまでは私も、「たかがTKGで500円!?」と思っていた。勝人塾でその会社の経営者が値上げしたいと言っていたから、なおさらマジかよと思っていた。
でも、食べてみてわかった。そこのTKGはスゴイ。まず、注文したら卓上釜が来て目の前でご飯を炊いてくれる。20分ぐらいでお茶碗二杯ぶんぐらいが炊きあがって、卵は何個でも食べ放題。パカッと割って醬油を垂らしてご飯と混ぜて頬張ればもう何もいらない。店長が気を遣って他にもいろいろ出してくれたのをお節介に感じるぐらい、今まで食べたご飯ものの料理のなかでその卵かけご飯が一番おいしいと思ったぐらいだ。
その瞬間、「やっぱり体験することは大事だな、五感で味わえば固定観念なんか一発で吹き飛ぶな」とつくづく思い知った。
体験を通じて頭を鍛えて
“両方の望み”を叶える策を
でも、いざ自分が利用したら、すぐ呼べるわドライバーはフレンドリーだわで、「佐藤さんこれいいですね。タクシーより全然いいですね」って、ほとんどの人が認識を改める。日経新聞に時々載る「欧米でウーバーへの問題視広がる」みたいな記事がいかに既得権益側の利益を代弁した記事か、一部の“意識高い系”の読者に向けた記事かに、五感を通じた体験によって気付かされる。
だから、つくづく、誰目線で物事を見たり考えたりするかなんだよね。特に経営者はその点を意識するべきだ。消費者は経営者の視点を持たなくても別にいいが、経営者は消費者の視点と感覚もわかってないと戦略を間違うから。
ちなみにその卵かけご飯の経営者に対しては、私は「値上げをしたい、しても大丈夫じゃないか」という経営者の認識を改めさせ、今回のこの時期の値上げは提案を控えさせてもらった。確かにうまい卵かけご飯だ。でも、消費者はこれが500円で食べられるから嬉しいのであって、そこに経営側の論理を持ち込んで「700円の魅力はあるはずだから700円にしよう」と考えるのは違う――と、指摘した。
私は自分も実務家としてBtoCの商売をサトーカメラでしているから、消費者視点に立った後は経営者視点からも考えることができる。それで経営者に聞いてみた。
「これ(卵かけご飯)は一日にいくつ売れているの?」「160杯です。炊くのに20分かかるから席数と回転率からいってそれが限界で。だから卵かけご飯以外の卵料理も品ぞろえして売上増を狙っています」「でも見てごらん。お客さんの目当ては明らかに卵かけご飯だよ。他のものでどうにかしようっていうのは違うよ」「でもそうしないと売り上げが立たないんです。それか、卵かけご飯を値上げするしかないんです」「わかった。じゃあこうしよう。平日のメニューはそのままだ。せっかく500円で喜んでいるお客さんをがっかりさせちゃいけない。その代り、土日は定食のみの営業にしよう。卵かけご飯定食を1000円〜3000円で出そう。現状土日は観光客が来て地元のお客と一緒になるせいで2時間待ちになっているんだから、このまま観光客と地元客の両方に迷惑をかけるより、地元客は平日も来れるんだから平日に来てもらうようにして、観光客と分けよう。そうすればみんながこの店を利用しやすくなる。それに観光客にとっては、定食で出ていたほうが、メニューがありすぎて迷う心配がなくなる。売上も伸びるはずだ」
そう提案したら経営者は「いいですねそれ! そうします」とわかってくれた。提案されればすぐに理解できるあたり、いい経営者だと思う。お客さんの視点もちゃんと持っているということだからね。
いまどき情報は平等に届く。そこから自分の頭で考えるかどうかで差が出るんだ。だから体が動くうちはできるだけ現地に行って体験し、五感を通して頭を鍛えて‥‥‥と、そう思っています。
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サトーカメラ株式会社 代表取締役社長 佐藤千秋
サトーカメラ株式会社 栃木県宇都宮市陽東3-27-15本部
TEL 028-613-6681
災害時対策委員長 湯澤裕徳
vol.38 五感で体験することの大切さ
著者プロフィール
佐藤 勝人 Katsuhito Sato
サトーカメラ株式会社・代表取締役副社長/日本販売促進研究所・商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司・チーフコンサルタント/作新学院大学・客員教授/宇都宮メディアアーツ専門学校・特別講師
経 歴
1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)『断トツに勝つ人の地域一番化戦略』(商業界)など。新刊の『モノが売れない時代の「繁盛」のつくり方』(同文舘出版)が好評発売中。
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