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ビジネス 佐藤勝人の「儲けてみっぺ」 vol.11 変えるべきか、変えざるべきか 佐藤勝人の「儲けてみっぺ」 経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役専務

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皆さんこんにちは。佐藤勝人です。恒例の「佐藤勝人のアメリカ商業視察セミナー」の受け付けが今月4日に終わりました。申し込んでくれた人、ありがとう! 検討してくれた人、来年はぜひ一緒に行きましょう! 今回のコラムはアメリカつながりでマックとディズニーの話です。あ、バックナンバーもここで読めるから、ヨロシク!
 
 

マックの原点は何か

 
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商業者を常に刺激する国アメリカ。4月は恒例の視察旅行に赴く
皆さん、マクドナルドはお好きですか。え、体によくなさそうだから食べない? まあ、そういうイメージはありますねぇ。でも私は、嫌いじゃないよ、マック(笑)。
 
私らの世代はマックといえば“おしゃれなデートスポット”“おいしいハンバーガーの店”だったんだ。今から何十年か前、まだ学生だった頃、私も彼女を連れて渋谷のマックにデートで行ったもんね。初めて見た実際の店は明るくて、キレイで、華やかでカッコよくてね。「アメリカってスゲーな!」って、マックでアメリカを感じたものでした。それでドキドキしながら注文して、出てきたハンバーガーを食べたら、おいっしいのなんのって。感動したよね。「うっわ~、これがアメリカだ~」ってね(笑)。
 
どうしてこんな昔話から始めるかっていうと、長らくどん底だったマックの業績が、今年2016年に入ってグッと上向いたというニュースを見たからです。1月の既存店売上高が、前年比35%増。客数と客単価もそれぞれ17%、15%の増。マスコミはずっと「マックはもう終わり」みたいに言ってきたが、なかなかどうして、やるじゃないか。
 
持ち直しの要因について諸説があるけど、私はマックが原点に戻ろうとしていることも理由の一つじゃないかと思う。象徴的なのが、2月後半に正式名称が決まった「北のいいとこ牛っとバーガー」だ。これは最初、「北海道産ほくほくポテトとチェダーチーズに焦がし醤油風味の特製オニオンソースが効いたジューシービーフバーガー」の仮称で販売したメニューだった。長すぎるから正式なメニュー名は懸賞付きで公募することにしたんだけど、長すぎるのも公募にしたのも、もちろん意図的だ。「話題性で客を釣ろうとした」――? 違うな。“ワクワク感”“ドキドキ感”でエンターテインメント性を演出したんだ。マックがマックらしさを思い出したんだ。
 
日本に来た頃のマックは「楽しい」「カッコいい」「華やかな」お店だった。もちろん食べてもおいしかった。それがコモディティ化を目指していたら、いつしか「安かろう、悪かろう、普通、汚い、ダサい」のイメージになっていったのは、コンビニの影響が大きかった。
 
銀座に最初のマックがオープンした3年後の1974年、鈴木敏文氏がセブン‐イレブンを日本に持ってきた。80年前後には専用の包装フィルムが開発されて、おにぎりがコンビニで売られるようになった。この頃から藤田田氏はコンビニのおにぎりをライバルと位置づけるようになり、90年代にはハンバーガーの値段をおにぎりと同じ1個130円にした。コンビニに対抗して自分たちも24時間営業にした。要は、意識が競争相手のほうに向かってしまったんだ。ファンのお客さんは置き去りにしながらね。
 
「何のために事業をしているかを忘れるな」。私が常に言っていることです。マックは寄り道したかもしれないけど、長い寄り道だったけど、原点は見失っていなかったんじゃないか。一気に35%増という数字からそんなふうに思いました。
 
 

変わらないディズニー

 
次にディズニーだ。サービス産業生産性協議会という団体が小売サービス業32業種、上位400企業を対象に行う顧客満足度調査があって、2015年度の結果が先々月発表された。そうしたら、トップ争いの常連で前回も2位だった東京ディズニーリゾートが、今年は一気に順位が落ちてトップテンからも外れていた。
 
ディズニーが始まったのは、えーと、1983年だ。そうすると、32年か33年前か。行ったねぇ、行きましたよ、私も。10代の頃、彼女と(笑)。行って驚いたのは“ディズニーマジック”だ。当時あったアトラクションの名前じゃないよ。「きゃー! 見てみてあれ! 次あれ行こう!」とか、「なんか可愛いの来た! あ、手振った!」とか、要は行列に並ぶ時間も周りのアトラクションやキャラクターで楽しめるっていうのは、日本人は初の体験だったんです。それがディズニーマジック。
 
でも、そういう楽しみ方は最初の驚きがなくなったら終わりでしょう。特に今の日本人はエンターテイメントの感覚も肥えちゃってるから、少々のことでは新鮮と感じません。
 
実は私、去年の冬、嫁さんの誕生日で久しぶりにディズニーでデートしたの。そしたら、何にも変わってなかった。昔のまま。乗り物の列に何時間も並ぶのも、レストランが外で食べる店ばっかりで寒いのも、値段ほどおいしくないのも、あの頃のまま。
 
でもこっちは、2人とも大人だから“マジック”はもう解けちゃってるわけよ。昔より体力も落ちたし、余分にお金出してでもVIPパスが欲しいのよ。しかし、この夢の国にはその魔法が無いんだなぁ。だからイイ大人が10代の子どもたちと一緒になって走り回ってファストパスを奪い合って行くんだけど、体力が持たないし足腰は痛いしマジ疲れるわ、しかも時間指定がされてて不便だし、だからゆっくりのんびりできないし、だんだん腹が立ってきてね。「二度と来るか!」とキレ――そうになったのを、グッとこらえて、商業者として考えてみた。
 
ディズニーはぶれていない。オープン当時のままだ。30年以上経ってもあの頃の「夢の国」のままだ。これは生半可じゃできない、立派なことだ。素晴らしい。・・・でも、あれから30年、10代の子どもだった私たちは大人になっちゃったんだ。そんな大人になってから再来場する客が圧倒的に多いんじゃないのかなぁ。
 
ディズニー転落の原因についてもいろんな説が示されている。ぽんぽん値上げし過ぎただとか、利益のためにギリギリのスタッフで回し過ぎただとか。どれも正解でその通りだろう。だが、本質論で指摘すべきなのは、「変わっていない」ということそのものではないか。
 
あれから30年、日本が変わった。人口比で大人が増えたし、日本人のエンターテイメントのレベルも上がった。海外旅行だって身近になった。世界中の料理を味わう舌も肥えた。そんな中で、企業としてお客さんに約束するものがいつまでも「子どもの夢の具現化」のままでは、大人になっちゃった私たちはとにかく辛い、嫁と2人で長時間並ばされることがツライ(笑)。人気のアトラクションはせいぜい1つ乗れれば御の字で、不人気アトラクションを2つ3つ乗れた程度。これじゃ、子どもは騙せても大人は騙せないわな。
 
ディズニーはあえて自分を変えない道を選んだんだと思う。変えたマックと違ってね。それぞれの道について、皆さんはどう思いますか。
 
 
 
 
佐藤勝人の 儲けてみっぺ
vol.11 変えるべきか、変えざるべきか

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役専務/佐藤商貿(上海)有限公司・総経理/日本販売促進研究所・経営コンサルタント/作新学院大学・客員教授

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)など。最新刊『断トツに勝つ人の地域一番化戦略』(商業界)が好評発売中。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
 
(2016.3.16)
 
 
 
 

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