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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 

不安や恐怖があるからこそ
その先に楽しみを見出せる

 
10月31日から上演される舞台、『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』に出演する俳優の仲村トオルさん。今作で第三弾となる「奇ッ怪」シリーズは、柳田国男氏作の「遠野物語」をベースに、“奇ッ怪”な物語を描く。脚本・演出を手がける前川知大氏とはおよそ10年の付き合いがあると語る仲村さんに、同作品に対する期待や、仕事への取り組み方についてうかがった。
 
 

生きている人のためになる芝居を

 
僕が前川君の手がける舞台を初めて観たのは、約10年前になります。当時、俳優の佐々木蔵之介君に「舞台で2人芝居をしませんか?」と声をかけてもらったんですよ。「演出は、前川知大さんに頼もうと思っています」という話だったので、前川君が作・演出の舞台を観に行くことにしました。
 
その舞台を観て、衝撃を受けました。もちろんおもしろいと感じましたし、僕が好きな世界観にぴったり当てはまっていたんです。10年が経った今でも、その世界観に惹かれていることに変わりはありません。今回出演させてもらう『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』を含めた「奇ッ怪」シリーズにも同じ魅力があると思っています。
 
その魅力について具体的に言うとするなら、少し現実離れしている不思議な設定、例えば死後の世界の話をしている。でもその話の核には、今この時間を生きている人にとって大事なことをもってきている、ということ。特に、前回の「現代能楽集Ⅵ『奇ッ怪 其ノ弐』」ではそれを強く感じましたね。この舞台は、死者が生者に語りかけるという内容でしたが、前川君が戯曲を執筆中に東日本大震災が起きてしまったんです。
 
そういった状況の中、死者の登場する舞台を上演することに前川君も葛藤があったと思います。でも、死者についての話が、いつの間にか生きている人のためになる話になっている。そんな、前川作品の魅力が詰まった舞台にできたんじゃないかな。それは、7月現在、前川君が執筆中の『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』にも期待するところ。ここではない、遠くの地で起こった奇怪な出来事を演じながらも、その日劇場に観に来てくださった方の心に、何か重要なものを残せる舞台にしていきたいと思っています。
 
 
 
 
 

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