「より良くするために頑張りたいと思える仕事に出合えて幸せ」だと何度も話してくれた石橋さん。女優業に感じる魅力や楽しさについてうかがうと、難しくやりがいのあることにチャレンジしていきたいという思いが伝わってきた。
正解がわからないからこそ楽しさを感じる
難しいことってやりがいがありますよね。「やり切った」「良かった」と思って撮影を終えても、いざできあがった作品を観てみると「まだまだダメだな」と毎回思うんです。もっと良くなりたい、次はこうしようという目標が生まれて、そのために頑張れるんです。
私自身が理想とするものは、まだ具体的には見えていないんです。ただ、「まだ足りていない」「悔しい」と感じるんです。正解が簡単にわからないからこそ、やりがいがあっておもしろいのだと思っています。
どれだけ頑張っても、すべて満足できることはないのかもしれません。満足したり、正解がわかったりしたら、もう私が演じる必要もないのかなと今は思っています。でも、それが難しくて、できないから楽しいと思える。そういう仕事に出合えたことが幸せですね。
それは、どの仕事でも同じではないでしょうか。思ったような評価を得られなかったり、自分に失敗があったと感じたり、100%満足のいく仕事をするのは難しいと思うんです。それに対して、「次はもっと頑張ろう」と良くなるために努力できる仕事に出合えたら、それほど良いことはありませんよね。
(インタビュー・文 中野夢菜/写真 Nori/ヘアメイク 秋鹿裕子(W)/スタイリスト 吉田恵)
石橋静河(いしばし しずか)
1994年生まれ 東京都出身
15歳でバレエスクールに留学。2013年に帰国し、コンテンポラリーダンサーとして活動を始める。2015年、舞台『銀河鉄道の夜2015』で女優デビューを飾り、2017年には初主演作である『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』でブルーリボン賞などの数々の新人賞を受賞。2020年に配信ドラマ『東京ラブストーリー』で赤名リカを演じるなど、躍進を続けている。
人数の町 公式サイト
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(取材:2020年7月)