連帯感の生まれる撮影環境だった
一緒にお芝居をするというのは、すごく“密”な関係だと思うんですよ。否が応でも協力せざると得ないというか・・・。自然と助け合う関係になるんです。だから、どのようにコミュニケーションを取ろうかと意識することはありませんでしたね。それに、撮影監督の方と照明の方は以前一緒にお仕事をしたことがあったので、安心して撮影に臨むことができたと思っています。
荒木伸二監督からは、最初にお会いした際に「こういう思いを持っている」「こういう作風にしたい」とお話しいただいていました。そのおかげで、撮影の前から作品の雰囲気をイメージできたんですよ。また、荒木監督は今作が初めての監督作品ということもあり、「これはどうしたら良いと思う?」と私たちを頼ってくれました。その熱意に呼応して、みんなで自然と協力し合うことができたんです。
また、地方に泊り込みで撮影をしたというのも、チームづくりにおいて大きかったと思います。毎日早い時間に起きて、撮影をして、夜遅くに帰ってみんなで同じご飯を食べる。例えば東京で撮影をして、それぞれの家に帰るよりも連帯感が生まれた気がして、私は良かったと思っています。
ただ、そういった状況では、良くも悪くもオンオフのつけ方が難しいところはありましたね。私は『人数の町』の脚本を読んだとき、「怖い世界観だな」と感じまして。あまりこの世界や、役に入り込みすぎないように注意していました。撮影のときはしっかりと集中して、それ以外の時間はなるべく身軽さを持って、意識的にオフの時間をつくるようにしていたんです。
もともと私は、役にのめり込みやすいタイプなのかなと思っています。でも、自分だけ一生懸命になって役に入り込んでも、周りが見えなくなって作品に貢献できないこともあります。なので、のめり込み過ぎず、役と適度な距離感を持つことを心がけていますね。自分を客観的に見ることが大切だと思っています。
ただ、それが結構難しいんです(笑)。作品が違えば撮影現場の雰囲気も変わりますし、その中でどういった風に役に入り込んで演じるのかは、毎回悩みながら試行錯誤しています。まだまだ全然できていないと感じています。