「選手の成長が何よりのモチベーション」と笑顔で話す宮本さん。その話しぶりから、選手たちに対する愛情が伝わってきた。
選手のモチベーションをつくってあげる
選手のモチベーションを保つのも、コーチの仕事の一つです。そのために、彼らが何をモチベーションとしているのか理解する必要があります。だから僕は定期的にアンケートをつくっているんです。「将来どうありたいか」「自分の持ち玉は何?」といったものですね。その回答を見て、選手それぞれに対する指導法を考えます。
そうして選手の成長を見ることが、僕にとってのモチベーションになっていますね。彼らは年齢的にも我が子のようですし、本当に幸せになってほしいと願っているんですよ(笑)。そのために仕事に邁進しています。
先日、リリーフ投手の田口麗斗が、記者会見で「来年は先発で投げます」と発言していました。チーム内でそんな決定はされていないのに(笑)。「こいつおもしろいなぁ」と思いましたね。実は、現在の巨人軍は先発投手陣が少し手薄なんです。リリーフ陣の中で先発を狙っている選手は多いですよ。
そんな彼らが、お互いにライバル意識を持つことによって、相乗効果で全員のレベルがアップすれば良いなと思っています。今は、それが楽しみですね。
<インタビュー・文 中野夢菜/写真 Nori>
宮本和知(みやもと かずとも)
1964年生まれ 山口県出身
高校卒業後、社会人野球の川崎製鉄水島製鉄所野球部へ入団。1984年に開催されたロサンゼルスオリンピックに日本代表として出場し、同年のプロ野球ドラフト会議にて読売ジャイアンツから3位指名を受け、入団した。1990年には2桁勝利をあげるなど、1997年に引退するまで活躍を続ける。引退後はスポーツコメンテーター、タレントとして活動を開始。2019年シーズンに、読売ジャイアンツの一軍投手総合コーチに就任し、2020年に一軍投手チーフコーチに就任した。
(取材:2019年12月)