喋る言葉は至ってシンプル。難しいことは何もない。しかも、その内容が身に染みて伝わってくるところがLiLiCoさんの言う、「心で人と接する」ということの意味なのかもしれない。
失敗を恐れない勇気が道を開く
そうかもしれないですね。今はSNSなどの便利なツールがありますから、それはそれでうまく活用すべきですけど、最後に人とのつながりでものを言うのは、やっぱり心だと思います。あと、私が大切にしているのは、努力と勇気ですね。ともかく、実現したいことに向けて努力を続けること。そして、間違えたり失敗したりすることを恐れず、実行に移せる勇気。この2つがとっても大事です。
私は外国育ちだから、たまに日本語で気の利いたセリフが言えなくて突っ込まれちゃうこともありますけど、臆することなく言葉を発し、勇気を振り絞ってチャレンジを続けてきたから、今があると思います。もちろん、カメラに向かって変顔をしてみたり、バラエティ番組で身体を張った企画に挑戦してみたりするのは、女性としてどうなんだろうって思う時だってありますよ(笑)。でも、自分の求めることを達成するには、そういう犠牲を恐れず、乗り越えていく必要もあるんです。自虐ネタで笑いを取ろうとするのも、勇気の賜物なんですよ。
18歳でアイドル歌手を目指してスウェーデンから来日。なかなか日の目を見ることができず、ホームレス生活を経験したことも。そんな日々にもめげることなく、前向きに活動を続けてきたLiLiCoさんを突き動かしていたものは、何だったのだろうか。
昨日よりも成長した自分でいたい
それは間違いなく、実現したい夢があったからですね! 夢は叶えられないと言う人がいるけど、それは努力してないだけ。私は夢物語の話はしません。例えばジョニー・デップや石油王と結婚したいとか(笑)、ではなく、「雑誌の表紙を飾りたい」「あの番組に出演したい」というような、明確な目標こそが夢だと思っていて、それを実現するために頑張ってきました。
歌手を目指していた時期は、これよりも下の生活はないと思うくらいの境遇にいましたけど、それも、自分が試されていた時代だったと思うんです。あの当時のことについて「大変でしたね」と言われることもありますけど、むしろ、こうしていろいろな仕事をさせていただいている、今のほうがプレッシャーも大きいですし、大変です(笑)。でも、そんな日々が、とっても楽しい!
私は、昨日より今日のほうが成長した自分でいたいんです。だから、昨日と今日で、考えが変わったらダメとは思わない。昨日の自分とは違う、新しいものの見方や考え方ができるようになっていれば、それは成長できた証拠。別所哲也さんは、「芸能界の仕事は毎日がオーディション」とおっしゃっていたけど、私は、自分の心を常にオーディションにかけているんです。
それに、かたくなにスタイルを貫くより柔軟性を持っていたほうが、客観的に自分を見られるから、周囲からどういうふうに期待されているかもわかる。すると、自分のキャラや売りにすべきことも見えてくるじゃないですか。最近はハーフのタレントさんやモデルさんもたくさんいるけど、私みたいな、ちょっと残念なハーフっていないでしょ(笑)。それはそれで貴重な立場だと思うので、そこを強みに、これからもやりたい仕事にたくさんチャレンジしていきたいです!
(インタビュー・文 佐藤学 /写真 Nori)
LiLiCo(りりこ)
1970年11月生まれ。スウェーデン・ストックホルム出身。
アイドル歌手を目指して18歳で来日し、1989年に芸能界デビュー。
およそ5年間のホームレス生活を送るなど、仕事に恵まれずに苦労を重ねた経験を持つ。
苦難の日々を乗り越え、2001年から TBS『王様のブランチ』で映画コメンテーターとして出演し、人気を博すように。
現在はNHK BS1『ラン×スマ』(ナレーション)、フジテレビ『ノンストップ!』などのレギュラー番組の他、イベントやラジオにも出演。声優やエッセイストとしても活動しており、様々なシーンで活躍している。
(取材:2015年6月)