原作・脚本が橋田壽賀子氏、演出が石井ふく子氏と、おなじみのコンビが手がけた今回の舞台。高島さんがこの二人の作品に出演するのは、2012年に同じ明治座で公演された『女たちの忠臣蔵』以来。共演者には西郷輝彦さん、一路真輝さんら『女たちの忠臣蔵』に出演した役者も多い。高島さんも「気心が知れている方が多いので、共演が楽しみ」だという。
役に集中できる、恵まれた環境
私にはさほど舞台の経験がないですけど、共演者の方々はとても経験豊富。だから『女たちの忠臣蔵』の時もすごく助けていただきました。皆さん非常に頼りになるので、大船に乗ったような気持ちで自分自身の役に集中して取り組めています。橋田先生と石井さんの作品って、舞台の場合でも主役=座長という感じがなくて、登場人物全員が主役に見える、群像劇のような一面があるんです。『渡る世間は鬼ばかり』なんて、特にそんな感じですよね。だから、「私が座長なんだ」という気負いを持たずにお芝居に集中できるから、とてもやりやすいです。
今はちょうど稽古中ですけど、お話をいただいてからずっと、台本を何度も繰り返し読んできました。台本を読む段階では、自分の役どころが物語においてどのような位置づけにあるのかを把握して、それを踏まえてどのような役割を果たすべきなのかを考える。いつもそうやって全体を俯瞰して役のイメージを掴むようにしています。あと、他の登場人物に自分の演じる人物がどう見られているかを把握することも、自分の役を演じるうえでは重要なこと。だから物語全てのシーンを把握しつつ、役づくりをしているところです。
高島さんの初めての出演作はテレビドラマの『暴れん坊将軍Ⅲ』だった。その後もテレビや映画で数多くの時代劇に出演している。その意味でも、時代劇に対する思い入れは強いのではないだろうか。
時代劇ファンを増やしたい
やっぱり自分が女優デビューしたのが時代劇ですから、思い入れは強いです。今は人気が低迷していますので、微力ではありますけど、なんとか人気を盛り返す力になれればいいなと思っています。今回の舞台を通じて年配の方はもちろん、若い方々にも時代劇のおもしろさを感じていただけたら嬉しいですね。日本人特有の奥ゆかしさであったり、義理人情の世界だったりを若い方に感じていただくには、時代劇ってうってつけだと思うんです。
舞台衣装の着物などに興味を持っていただくのもいいと思います。洋服もいいですけど、着物には着物のよさがありますから、女性だったら特に興味が湧くかもしれません。着物以外でも、帯の締め方や髪型といったファッション全体のことなど、その時代の文化・風俗に興味を持てば、より時代劇がおもしろく感じると思うんです。そんなふうに、ストーリー以外の部分に興味を持ってみるのも、楽しみ方の一つだと思いますよ。