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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

部下を育てるには「独立をそそのかせ!」
吉越流マネジメント術が支持される理由

 
 
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 「仕事の対極にあるものは何ですか?」 と問えば、おそらく日本のビジネスパーソンの多くは 「休み」 と答えるのではないでしょうか。その内実は、自宅でゴロゴロとテレビを見たり、ダラダラと眠ってばかりいる体力回復系の休日です。
 欧米で活躍するやり手のビジネスパーソンは違います。彼らは 「遊び」 と答えるのですね。三角形のヒエラルキーの上部にある、能力とモチベーションをさらに伸ばすためのリフレッシュをしたがる。もちろん私は、欧米のやり方がすべて正しいという 「右へならえ」 精神を唱えているわけではありません。大事なのは、仕事において発展性を持つために、どんな時間の使い方をしていくかということなのです。
 作家の堺屋太一さんは、6時間がインプット、6時間が仕事、6時間が遊び、6時間が睡眠という生活をされているといいます。あのお歳でまだ今も6時間のインプットをしている。これはすごいことだと思いませんか? インプットができるからこそ、仕事においてアウトプットができる。アウトプットができるということは、自分が今まで手掛けたことがないようなチャレンジにも挑める。すると、上司としてはそれを頼もしく思えますし、そのような部下には仕事を任せたいと思えるでしょう。しかも、安心して。ここまでの話、実は冒頭からずっと一本つながっていることなんですよ。
 
 

目的意識が人を育てる

 
冒頭から一本つながっているとなると、氏が最初に提唱していた 「独立意識」 ということにもつながってくる。うまく仕事を回していくルーティンはわかった。部下に対する上司の関わり方も納得できた。だが、最後に 「独立」 となると、少し話が飛躍しすぎではないかと思うが、吉越氏は首を横に振る。「やはり、独立意識がなにより重要だ」 と。
 
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 一番最初に私が言った言葉を思い出してください。実際に事務所を立ちあげて 「こんなに楽しいことはない!」 と思った。その楽しさは、誤解を恐れずに言うと、独立した人にしか味わえない喜びのひとつです。「独立をする」 ということは、誰にも頼らず、自分の責任と裁量ですべてをまかなっていかなくてはいけない。もちろん周囲に協力者はいるでしょうが、最終的には社長の力量がものを言いますからね。
 でも、私が言いたいのは、独立を目指せば、自分のために必死になれるということ。今までは上司が部下に対して、うまく仕事を回させるための育成術のように話してきました。しかし、部下本人が意識して仕事に取り組むためには 「今やっていることは、自分の将来のために必要なことだ」 と思ってくれることが何より大事です。
 ですから、私は若いビジネスパーソンと話をするとき、必ずこう言います。「チャンスがあったら独立しなさい。独立を目指して働きなさい」。独立意識は、まず目的意識を根本から変える。使われているという感覚を除外する。自分のために学ぼうと言う姿勢が強くなり、仕事をエンジョイできるようになる。これは上司にとっても諸手を挙げてバンザイ三唱できる状態ではありませんか? 
 もちろん当人に会社がたくさん給料を払うようになって 「会社に残る」 という決断をするのは構わないでしょう。つまり、部下に仕事を楽しくさせるためには、独立意識を持たせ、「だったら、こういう手立てがあるぞ」 と仕事術を与えてやる。それができる上司になって初めて、「やり手のボス」 と言えるのではないでしょうか。もちろん、上司自身にとっても同様ですけどね(笑)
 
 
(インタビュー・文 新田哲嗣 / 写真 大木真明)
 
 
 
 
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