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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

相対的な視点と手法の転換が
環境問題への取り組みを変える

 
 
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カーボンフットプリント表示商品例。

意識と視点を変え
より良い手法にシフト

 
 これからのことで、我々が次にどこを見ているかと申しますと、25%宣言に伴う動きはやはり気になっています。カーボンフットプリントをご存知ですか?経済産業省が進めていまして、ポテトチップスの袋の裏などに、その商品を作るのに排出した二酸化炭素量がカロリー表示みたいに書く制度です。二酸化炭素を排出していることをちゃんと見せて、排出量の少ない商品への消費者の選好を促そうという狙いです。当然企業もそれに対応していかなきゃいけない。民主党政権の間は低炭素関連の市場は伸びるでしょうから、そこに食い込みたいですね。
 
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 日本は国民のリサイクル意識は高いと言いましたが、低炭素への意識についてはまだまだヨーロッパ人に叶わない部分があるかもしれません。ヨーロッパの航空会社には、乗客が航空券にオフセットを申し込めるサービスがあります。ブリティッシュエアウェイズも、スカンジナビアも、ルフトハンザも、みんな導入しています。たとえば5万円の航空券を買うときに2000円払って、自分がこれから乗る飛行機のジェットエンジンが出す二酸化炭素をオフセットできる。乗客が自ら申し込むところがポイントです。ヨーロッパにはノブレスオブリージュ (富める者の義務) の伝統もありますし、「飛行機のジェットエンジンは環境負荷が大きい」 というような知識が社会常識となっている。もちろん一部の人が利用するもので、誰でもが使っているサービスではありませんが、やはり先行していると言えるでしょう。カーボンフットプリントが日本の消費者をどう変えられるか。リサイクルワンとしても積極的に関わっていこうと考えています。
 
 と同時に、もっと積極的に排出量を削減するやり方も進めないといけません。我々が目を向けているのは海外です。国内産業の削減余地は少ないですからね。たとえばトヨタさんの工場などは、すでにものすごい努力をされていますから。彼らにこれ以上の削減を強要するのは経済的におかしい。
 
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新たに進出したメタンガス回収のCDM(Clean Development Mechanism)
事業。排水処理池の現地踏査。

 日本の産業界が1トンのCO2を削減するのに費用がいくらかかるかご存知ですか? 一番費用がかかる自動車産業で20万円です。一方、市場で取引される二酸化炭素排出権は1トンあたり2000円から3000円です。100倍の差がある。日本のある企業がCO2を削減するための予算として100万円持っているとして、それを国内の工場に持っていってもあまり多くを削減できません。でもインドネシアに持っていけば、10倍、100倍のCO2削減ができます。それだったら、地球の大気は一個でどこのCO2を止めたって同じわけですから、効率のいいところから止めればいい。中国やインドなどCO2を大量に出している国で仕事をすればいい。企業もそんなふうにどんどん視点を変えて、手法を変えて取り組むべきです。
 いま、リサイクルワンはインドネシアでメタンガス回収の事業を始めようとしていますが、他にもCO2削減プロジェクトはどんどんやっていきたいですね。
 
 
――では最後にお聞きします。リサイクルワンの事業は、これから各業界に何をもたらせるでしょうか。
 
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 全ての業界ということになると一言で表しにくいですが、やっぱり今までと同じく、「半歩先の新しい環境を作る」 ことです。我々は、どの環境関連企業よりも、各企業に時代に合わせた変わり方を提案できるアイデアやノウハウを持っていたいと思っています。
 いま、レジ袋メーカーからのカーボンオフセットの引き合いがあります。エコバッグが普及してから、石油で作るレジ袋は防戦一方だったわけですけれど、だいたい5円の単価に20~30銭つけたオフセットのレジ袋をメーカーが売りはじめました。それによって、袋を買うスーパーも、もらう我々も、サービスを落とさず、CO2削減に貢献できる。結果としてレジ袋メーカーは売上を確保できるというわけです。こういう商品ができると 「全員レジ袋」 という世界でも、「全員エコバッグ」 という世界でもなく、「CO2は気になるけどレジ袋は必要」 という人に対して、別の生活提案ができるわけです。
 それで集まった20銭がどうなるかというと、作業手数料をいくらかいただいたあと、排出権を通じてブラジルやインドなどの新興国や発展途上国のCO2削減プロジェクトに資金が届きます。海外に持っていけば日本で使ってしまうのに比べて何十倍の大きさにして活かせます。現地の石炭火力をクリーンエネルギーにシフトさせるなどの大きなプロジェクトを進めるのにも役立ちます。環境事業はグローバルに循環しているわけです。
 私が第一線で事業に関われるのはあと30年ぐらいでしょうけれど、30年その循環を続けられれば・・・ 少しはね、地球環境をいい方向に動かすのに貢献できるんじゃないかな。
 
 
(インタビュー・文 筒井秀礼 / 写真 大木真明) 
 
 
 会社概要 
株式会社 リサイクルワン
 本社所在地 
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-10-13 渋谷Rサンケイビル 6F
 オフィシャルサイト  
http://www.co2-os.jp/carbonoffset/(カーボンオフセット)
 

 

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