石黒　地域の期待を背負うことに、プレッシャーやご苦労はありませんか？
 
畑山　創業時から一緒に働いてきたスタッフに、支えられています。この仕事への私の思いを理解してくれているメンバーばかりなので、心強いです。
 
石黒　理念をしっかりと共有されているんですね。その思いについて知りたいです。
 
畑山　「つなぐ」が目指しているのは、子どもたちが本当の意味で自立できるようになること。多くの親御さんは、自分たちが亡くなってから我が子が生きていけるか、不安に感じておられます。そこを解消するのも私たちの役割です。お子さんが被害者にも加害者にもならぬよう、親がいなくても自分らしく人生を歩めるように必要な力を育んでいます。
 
石黒　私も母親なので親御さんの心配がよくわかりますよ。子どもの成長に伴い、親が手を離さざるを得ないタイミングは必ず来ます。その後も、自らの力で健やかに生きてほしい。「つなぐ」は、その気持ちを汲んでくれる場所でもあるんですね。こちらでは、どのようなサポートを行っておられるのでしょう？
 
畑山　日常生活を送るために必要なスキルを、楽しく学んでもらっています。一人ひとりに合わせて個別の計画や課題をつくっているんです。そして成功体験を積み重ねて、自信につなげていきます。加えて、人とつながる姿勢も身につけてもらいます。例えばピアノを弾ける子がいたら、演奏の技術を高めるより「私はピアノが弾けます」と周りに自分をアピールできるように導くんですよ。一方、困ったことがあったとき「助けてください」と周りに力を借りられるようにも教えています。生きていくには、人とのつながりを持たねばなりません。そこも養成しているわけなんです。
 
石黒　ヘルプのサインを出して問題を解決する力も、養っておられるわけですね。