亀山　遺品整理や特殊清掃のお仕事を手がける株式会社クリーン・アートの布田さん。ご結婚を機にご主人と同じ職場に入られたそうですね？
 
布田　はい。弊社は主人の兄がその父親から継いだ会社で、もともとは廃棄物収集運搬事業を展開していました。その後、遺品整理・生前整理と特殊清掃の事業もスタートし、現在はこれらが業務の半分を占めています。
 
亀山　布田さんは遺品整理の責任者を務めているとのことですが、仕事をする上で大切にされていることはありますか？
 
布田　遺品をむやみに捨ててしまうのではなく、できるだけ故人の思いを残すような整理を心がけています。初めの頃、ご遺族の許可があった場合は、遺品のすべてを処分していたんです。しかし、私自身が出産して人の親となり、親や子の思いを意識するようになって以来、遺品の一つひとつを確認し、丁寧に扱う今のやり方に変えました。その分、時間も手間もかかりますが、故人が大切にしていたものの一部をご遺族にお渡しして、両者の思いが通じ合ったと感じられた瞬間が、とても嬉しいです。
 
亀山　驚いたことに、布田さんは今のお仕事を続けてきたことがきっかけで、僧侶になられたんですよね？
 
布田　はい。正式にお得度させていただいて、浄土真宗本願寺派の僧侶となりました。以前、孤独死をされた方のご遺族に「このような最期を遂げた人は成仏できないですよね？」と聞かれて、何も答えられなかったんです。それがずっと心に引っかかったまま答えを探していて、ようやくたどり着いたのが、阿弥陀様がおつくりになられた苦しみや迷いのないお浄土の世界と親鸞聖人の教えでした。それで、その時のご遺族に「大丈夫です。きっと成仏できたはずですよ」とお伝えしたらとても喜んでくれました。そして、「みんなにもその教えを広めてほしい」と言ってくださったので、覚悟を決めて在家の僧侶になる道を選びました。