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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

意匠と構造の両面から
安全な理想の家をつくる

 

意匠と構造を設計できる数少ない設計事務所

 
お邪魔した事務所には藤江社長自慢の自転車が
お邪魔した事務所には藤江社長自慢の自転車が
鈴木 私はてっきり、設計に関することはすべて一級建築士さんができるものだと考えていました。
 
藤江 いえ、実はそうではないんです。建築設計は意匠設計、構造設計、設備設計の3分野に分かれています。意匠設計とはデザインや間取りの設計で、これが一般的にイメージされる一級建築士の仕事ですね。構造設計は耐震性をはじめとした建物の強度に関する設計を行います。設備設計は、空調や配管、音響など、環境面の設計を行う分野です。
 
鈴木 そうなんですか。初めて知りました!
 
藤江 資格が創設されたのは2006年で比較的新しいものですから、ご存じない方は多いでしょう。なぜこの資格が創設されたかというと、2005年に世間を揺るがした耐震偽装問題の影響です。建築にあたり、より確かな安全性、耐久性を踏まえた構造計算書が求められるようになり、資格が細分化したんですよ。一級建築士のほかに、構造設計一級建築士と設備設計一級建築士という資格が誕生しました。
 
鈴木 なるほど。設計に関わるそれぞれのエキスパートが集まって、今の建築は生まれているんですね。まるでさまざまな選手でチームを構成する野球みたいです。その中で構造設計というと、やはり建物の安心に深く関与する役割ですよね。
 
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トライアスロンにも挑むアクティブな藤江社長
藤江 そうですね。特に最近はデザイン偏向になりがちな間取りや行き過ぎたコストカット、手軽なリフォーム、DIYブームなどで、建物の強度が軽んじられているような風潮があります。もしくは、そもそも構造設計に対する認識が薄いケースもあるんです。だからこそ、建物の安心、安全を守るためにも構造設計を熟知したエキスパートが求められていると感じますね。
 
鈴木 そして現在、藤江社長は一級建築士と構造設計一級建築士の両方の資格を取得なさっていると。両方を持っている方は、珍しいのではないですか?
 
藤江 そう思います。国内の建築士登録状況では、2020年4月1日時点で一級建築士が37万1184名に対し、構造設計一級建築士は1万153名と、約3%にとどまっています。なので、弊社のような町の設計事務所で意匠設計と構造設計の両方ができるところは、かなり少ないでしょうね。
 
鈴木 そんなに少ないとは! やはり建物の安全性は自分たちの暮らしの安心に直結しますから、構造までしっかりと見てくれる設計事務所の存在は心強いですよ!