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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

痛みを知る税理士として
企業や事業の再生に尽力

 

2度の倒産で味わった経営の痛み

 
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鎮西 経営の“痛み”を知っているとは、いったいどういうことなのか、詳しくお聞かせください。
 
植原 実は私の父は、これまでに2度、事業に失敗しているんです。1度目は私が小学5年生のときでした。日曜日の朝、家族で食事をしていると突然、不動産会社の方が5、6名でやってきたこともあります。売りに出されていた我が家を、次の買い手の方に案内しているんだと理解できたのは、しばらくしてからのことでした。
 
鎮西 それは、大変でしたね。特に子どもには受け入れがたい現実だと思います。
 
植原 もちろん両親も、私が小学校を卒業するまではその家に住めるようにしてくれるなど、できる限りのことはしてくれていました。ただ、やっぱり学校で必要なものを「買ってほしい」と素直に言えない状況というのは、辛いものがありましたね。それで、15歳くらいからアルバイトを始めたんです。最終的には、40種類ぐらいのアルバイトをしたんじゃないでしょうか。いろんな仕事をしたことで各業種の理解が深まるなど、この経験は税理士の仕事にも活きているんですよ。
 
鎮西 その前向きな姿勢は、素晴らしいですね! 差し支えなければ、2度目の倒産についてもうかがってよろしいでしょうか。
 
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植原 2度目は私が大学生になってからでした。父が再度起業するというので、私も宅建の資格を取得し、手伝うことにしたんです。「失敗を経験しているから、もう大丈夫だろう」と思っていた矢先、開業してすぐにバブルが崩壊してしまいまして。
 
鎮西 今度はタイミングに恵まれなかったんですね。
 
植原 ええ、税理士になった今振り返れば、そのときに任せていた税理士の方がルーズだったのではないかと思うところもあります。もし、もっとしっかりと対応してくれていたら、最悪なケースは避けられたのではないか、と。でも、まだ社会というものをよく知らなかった私にも甘さがありました。「店先に物件情報を出していれば、お客様は来るだろう」と考えていたほど、経営というものを浅く見ていたんです。
 
鎮西 そうかぁ。事業に失敗した経営者と、その家族、両方の痛みを知っているからこそ、税理士になって、経営相談や事業再生の方面に進まれたのですね。植原代表の原点を、しっかりと理解することができました。