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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

幼児教育の経験を活かす
キャリアコンサルタント

 

与えるのではなく、気付きを促す

 
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杉田 相談しに来られた方へは、どのようにお話を聞くのでしょうか?
 
小野 人それぞれですね。ただ、例えば「これについてはどう思いますか?」というような限定的な質問はしません。自然に出てきた言葉から、どうしてその言葉が今、この文脈の中で出てきたのかを考え、その方の本心を探っていくんです。
 
杉田 言葉の裏にある本音を見つけるということですか?
 
小野 そのとおりです。その方が言葉で言ったことが、自分の本当の思いとは限りませんからね。よく「こんな会社、辞めてやる!」と言いながら、実際には退職しない人がいますよね。それは、本当に辞めたいのではなく、「自分の話を聞いてほしい」という心の叫びであることも多いんですよ。
 
杉田 深いなぁ! 私はてっきり、相談者がキャリアの中で抱く目標やビジョンなどをヒアリングするのかと思っていましたよ。
 
小野 もちろん、それも大切なことです。でも、残念ながら、夢や目標を持つことに抵抗を感じる方もいらっしゃいます。「人生は思うようにいかないから、夢を持っても無駄」とか、「自分の代わりはたくさんいるから、仕事を辞めても誰も困らない」と、寂しいことをおっしゃる方も少なくないんですよ。
 
杉田 コミュニケーション不足が理由なんでしょうか。「あなたじゃないとダメだよ」ということが、本人にきちんと伝わっていないとか。
 
小野 それもあるかもしれません。しかし、逆に「あなたの代わりはいない」という責任感でがんじがらめになり、精神的に追い詰められてしまう方もいますから、やはりそれぞれの本当の思いを引き出すのが重要ですね。例えば、芸能界は本人が何かしたくても周囲が許さないという風潮が従来からありますよね。でも、最近は留学や子育てなど、自分がしたいことを自由にできるようになってきたと見受けられます。そのように、発信力のある芸能人の方が自分の生き方を世の中に示すことによって、それを見た人が、自分の本当の思いに気付いたり、人生のヒントを得たりすることもある。そのような状況は、私はとても良いことだと思いますね。
 
杉田 確かに、個人によって最適な答えは違いますから、こうすれば良いなんて一概には言えませんね。
 
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小野 ええ。家庭の事情などの個人的な悩みも深く関与してきますからね。ですから、明確な目標や適性を誰かが無理に決めつけるのではなく、自分自身で考える、その土壌が形成されることが大事なんです。中には、自分で答えはわかっていても一歩を踏み出す勇気がないという方もいます。そんな時、誰かに話を聞いてもらい、自分の味方になってくれる人がいるんだと思えれば、一歩を踏み出せるきっかけになるかもしれませんよね。そのような方を応援するのが、私たちの役目だと考えています。
 
杉田 話を聞いてもらうことの大事さは、とても共感できます。私も、周囲の人の力がなければ、今の「杉田かおる」はなかったと思いますから。