脱・縦割りの住宅づくり
資金や施工もチーム対応
「家を建てたい人」と商売を急がず向き合う
三浦 本当に全然違う世界にいたんですね。それがまた、どうして今のお仕事に?
山田 子どもができたからです。私のいたテレビの現場は薄給でしたので、脚本家になる夢は最終目標として持ちつつも、現実問題家族が増えましたから「今の生活をどうにかしないといかんぞ」と思ったんですね。それで、「どうせ転職するなら人を見て、人から何かを吸収できて、なおかつ人を喜ばせることができる仕事がいいな」ということで、営業職を選びました。中でも不動産営業はお客様の収入まで知ることになるディープな仕事だから、その分やりがいも大きいと思いまして。
三浦 不動産営業というと「生き馬の目を抜く」ような厳しいイメージがあります。特に営業の人は酸いも甘いも噛み分けたツワモノばかりだから、客としても油断がならないというか・・・(笑)。
山田 昔ほどではなくなりましたけど、確かに、ちょっと怖い感じはありますよね。でも私は「売らなきゃ帰らないぞ」くらいのイケイケな営業スタイルには最初から違和感がありまして。だから、会社内での成績はずっと上のほうにはいましたが、血眼になって売り込むという感覚はなかったです。
三浦 優秀だったんですねぇ。何か商談をまとめる秘訣でもあったのでしょうか。
山田 自分でもよくわからないのですが、お客様への純粋な興味が起点になっていたからかもしれませんね。先程も言いましたけど、私は人を見るのが好きだから、早く契約して数字を取ろうなんて気持ちはハナからないんですよ。いつも「目の前のこのお客様のために何ができるか」ということしか考えていませんでした。
三浦 常にお客さんの目線に立って営業されていたのか。他の営業マンと違うアプローチをしていたからこそ、トップに立つことができたのかもしれないですね。
山田 そうですね。私はとにかく、相手がどんな方なのかが知りたいんです。だから、普通は「商談の場は会社を舞台にするのが望ましい」とされていましたが、自分はお客様が実際に生活するご自宅までよく足を運んでいましたね。
そうすると、それぞれの家庭環境の実態が見えてくるじゃないですか。玄関先の靴の量や壁にかかった写真やメモ、家具の色合いや趣味、台所の使い方などなど。言葉では表現できない、その人が暮らしの形として今不満に思っているもの、望んでいるものが全部わかってきます。それこそ人それぞれが持つ適度な温度や明るさにも気付くことがあります。それからじゃないと目の前のお客様が理想とする「暮らしのカタチ」は、ご提案できないと思うんです。