脱・縦割りの住宅づくり
資金や施工もチーム対応
住宅ローンもわかる設計業だからできること
三浦 契約を最優先するような営業手法に「どこか馴染めないな」とか「これでいいのかな」と感じ、お客様目線に立つというご自身のスタイルを貫いたご経験が、現在の仕事に生かされているんでしょうね。
山田 そうかもしれませんね。波風を立てるつもりはありませんけど、私は不動産屋という言葉にまつわるもの全体に、今でもいい印象を持っていないので(笑)。例えば不動産仲介業というのは本来、お客様と家づくりに関わるいろいろな職種の人たちとの間に立って潤滑油となる大切な役目であるべきで、その存在理由は「お客様に安心を与えること」だと思っているんです。だが、現状はただの「紹介業」になっている人も少なくありません。私が従来の縦割り分業を乗り越えて不動産業から設計、施工にまで関わるのは「どうすればお客様に安心して新しい暮らしづくりを楽しんでもらえるか」を考えた結果なんです。そのためには、この建築・不動産業界で昔から通例化した業務スタイルを変えないとダメだと思うんですよ。
三浦 では、お客様の側から見て御社のサービスは、具体的にどこが従来と違うのでしょう?
山田 一番の違いは、家づくりの初めからおしまいまで、私だけが窓口としてお客様に対応する点ですね。通常ですと、最初は不動産屋さんと打ち合わせをしていても、設計の細かい話になると設計会社の人が出てきて、いざ建てる段階では建築業者の人が出てきます。その過程で最初に不動産屋さんと立てた資金計画と理想とするプランとのバランスが、進むにつれて徐々にズレていってしまうんです。例を挙げると、建築業者さんから「もっとこうしたほうがいい」と勧められるままにオプションを追加するうちに、予算はどんどん膨らんでしまうことがあります。でも、建築業者さんとの打ち合わせ時にはすでに土地を買った後だから、後戻りができないんですよ。
三浦 なるほど。気付いた時には、想定よりも何百万円も高い買い物になっていたなんてこと、確かにありそうだなぁ・・・。
山田 全体の値段が数千万円だから、10万円や20万円のオプションが小さく思えて「ま、いいか」とあっさり受け入れてしまいがちなんですよね。でも当社の場合、私が土地の目利きやファイナンスも全部引き受けますし、設計はもちろん、施工をIKホームに引き継いでからも、管理責任者として現場に付き添います。最初にお客様から希望を聞いて資金計画までした担当者が土地購入から設計・施工まで常に隣にいるスタイルって、この業界には意外とないんです。
三浦 その点、御社なら安心ですね。山田社長が最後まで面倒を見てくれれば、いろいろなメリットがありそうです。
山田 ありがとうございます。家づくりって本当は設計を全ての中心に据えるべきだと思っています。でも、土地の坪単価や住宅ローンのことがわかる設計屋さんはまずいないから、結局、不動産屋さんが仕切ることになる。当社は設計業の看板を掲げていますけど、私はもともと住宅に関するファイナンスのプロですから、お金のことを第一の軸として設計・施工を考えられます。