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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

理美容師専用ハサミの
トップメーカーの技術

 
 
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事務所の壁では三代目・高橋福太郎氏の遺影が一芳氏を見守っている
名高 お父上、すごい決断ですね。でも、理容室そのものは盛況だったのでしょう? それも閉めてしまったんですか?
 
高橋 はい、きっぱりと(笑)。それで私にも手伝えというので、手伝ったんですが、しばらくは本当に大変でした。何せ、まだ研究の段階なので、お金が入らないんです。近所のパン屋からもらってきたパンの耳を水で食べて食事にするような毎日でした。でも、そうやって1年くらい父といっしょにハサミと向かい合っていたら、私もハマってしまいまして(笑)。
 
名高 ハサミという物自体はそれこそ何百年も前からあって、発展の伸びしろはないように思えますが、そうでもないんですねえ。
 
高橋 いやいや、それどころか、私たちの結論は 「今のハサミはおかしい」 でした。きれいに効率よく使えるようにできていない。ですから、ありとあらゆるハサミを徹底的に研究しましたね。素材から刃の鍛え方、全体の形状まで、あらゆる要素を朝から晩まで、父とケンケンガクガクの議論を繰り返して分析したものです。あの当時のことが、今思えば弊社の原点になっています。
 
 

日本刀の技術を応用した
抜群のキレと使い勝手の良さ

 
名高 当時流通していた理容師用のハサミには、具体的に何が足りなかったんですか?
 
高橋 当時のハサミは、切るのに力が必要だったんですね。だから、1人の髪をカットするのに、男性の髪でも1000回くらい開閉していました。それを毎日何人もやるわけですから、腱鞘炎になっちゃうんですよ。
 
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ドライカット用の「B-DRY COSMOS」
ガラス越しでも圧倒的な存在感だ
名高 は~、これは理容師さんじゃないとわからない感覚ですね。元プロだからこそ、何が足りないのか、どういったハサミが理想的なのかという設計図が描けるわけだ。具体的には、どのようなハサミを作られたんですか?
 
高橋 日本刀の考え方を取り入れました。もともとハサミは西洋の物です。だから刃物としての考え方も西洋的なんですね。いっぽうで日本刀は、物を切ることを考えたら理想的な形状なんです。力を入れなくても、当てればストーンと切れる。そこで、蛤刃と呼ばれる独特の形状を取り入れました。これだと、触れただけで切れるので、ハサミを開閉するときにほとんど力がいらないんです。
 

名高 うん、ぼくも日本刀は趣味なのでよくわかります。日本刀って、反り具合も含めて、よく切れる形状が追求されているんですよね。研ぐ際も全体を研ぐから角度が変わらず、鋭さが維持できるんです。それをハサミに取り入れるとはすごい! 刃を鍛える技術もご自分で修得されたのですか?