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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 

マイクを握って51年
自分を信じて突き進む
フリーアナウンサー 宮本隆治

 
1973年にNHKに入局し、1995年から2000年までの6年間、『NHK紅白歌合戦』の総合司会を務めた宮本隆治さん。2007年、NHKの役職定年制度により57歳で退職し、フリーアナウンサーとなった。インタビューでは、NHK入局当初から現在のご活動に至るまでのさまざまなエピソードをユーモアたっぷりに語ってくれた宮本さん。そのお話から、仕事を楽しむヒントを探った。
 
 

さまざまな番組で知見を広めた

 
NHKへの入局が決まったときから、『NHK紅白歌合戦』の司会を目指していました。やはり、NHKの看板番組は紅白だと思っていましたからね。ですから、芸能番組を志望していたんです。ただ、番組への配属にあたっては個人の希望は一切通らないんですよ。業務命令が下った現場に行くしかありません。
 
さまざまな種類の番組に出演させていただいたことは、良かったと思っています。以前、『サンデースポーツタイム』というスポーツニュース番組を担当したことがあります。それまで私にとってスポーツはただ観戦するものでした。でも、観戦する際にいろいろと考えながら観るようになりましたね。野球や相撲など、さまざまな競技のプロの方にお話をお聞きする仕事は勉強になりましたし、やってみて良かったと感じました。
 
また、普段街を歩いているときに声をかけてくださる層にも変化がありました。30代、40代以上の男性が応援してくださるようになったんです。『サンデースポーツタイム』を担当する前は、主婦層の方がよく視聴してくださる番組を担当していたので、こういう風に自分の可能性が広がっていくんだなと実感しました。そうした経験から、会社から与えられた条件を、どのようにうまく達成していこうかと考えるようになったんですよ。
 
どのような番組でも、アナウンサーの仕事は基本的に同じです。「真実を伝えること」。芸能番組であれば、口調を柔らかくして盛り上げつつ話します。ニュースであれば、事象をそのままお伝えする、といった差があるだけですね。その際の声のトーンや口調は、現場で学んでいかなければいけません。なので、初めて報道番組を担当したときは、大変でしたよ。
 
例えば、「NHKが聞いた今日のモスクワ放送によりますと」という一文を読む際に、私はもともと抑揚をつけて読んでいたんですよ。それは、先輩方に言わせると「ギクシャクしている読み方」だそうです。一番説得力のあるニュースの読み方は、飛行機が着陸するように読むことだと言われまして。文章の最初、今回の例文だと「NHK」の「え」にアクセントをつけて、残りはだんだんとトーンダウンしながら、スーっと着陸するように読む。そう何度も説明していただいたのですが、最初のうちはその感覚がまったく理解できませんでしたね(笑)。
 
 
 
 
 

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