全国旅行支援もスタートし、この秋はお出かけの機運が高まってきましたね。オンラインイベントやテイクアウトグルメの充実など、おうち時間がすっかり定着したこの数年。とはいえ、やはり実際に各地へ足を運ぶことでしか出会えない体験には、心が躍るものです。今回は、わざわざ足を運びたくなる、とっておきの最新スポットをご紹介しましょう。 伊勢神宮や世界遺産の熊野古道などでも知られる、三重県南部の伊勢志摩地方。歴史や文化、美しい自然が息づき、海山の幸に恵まれたこの地域は、日本書紀には「美し国（うましくに）」と記されています。そんな美し国に、2022年11月1日、伊勢志摩地方初となるワイナリーが開業しました。 国内有数のリアス式海岸と急峻な山々に囲まれた南伊勢町の葡萄畑をきっかけに創業したという伊勢志摩ワイナリー株式会社は、この地の海の幸とのマリアージュを構想の一つにかかげ、伊勢志摩らしい特徴を活かしたワインづくりを追求。そうして誕生したのが、レストランを併設した都市型ワイナリー「伊勢美し国醸造所」です。伊勢志摩地方の魅力を世界に発信し、周辺地域に新しい風を吹き込むワイナリーの門出に注目しました。

伊勢市駅から徒歩10分と、アクセス至便な立地にオープンした伊勢美し国醸造所。伊勢の伝統的建築様式“きざみ囲い”を外壁に取り入れアーバンスタイルに仕上げたモダンな佇まいが目を引きます。一歩足を踏み入れると、施設内には伊勢志摩などのアーティストによるアート作品や伝統工芸品が散りばめられているのも見どころの一つです。 伊勢美し国醸造所では、現在、日本固有品種甲州の白ワインやヨーロッパ系葡萄品種メルローの赤ワイン等、伊勢志摩の風土と食文化に寄り添うワインの生産をスタートしています。新生のワイナリーとして、これからどんなワインを生み出していくのか、今後の展開から目が離せません。 また、総支配人を務めるのは、国内の錚々たるラグジュアリーホテルでチーフソムリエ、料飲部マネージャーを経験し、手がけたワインリストが米国のワイン・スペクテイター誌にてベスト・オブ・アワード・オブ・エクセレンス受賞するほか、地域のワイン産業を牽引する、JSA認定ソムリエ・エクセレンスの江頭篤彦氏。レストラン併設型のワイナリーとあって、ここでしか出会えない伊勢志摩ならではの食とワインのマリアージュに、自然と期待が高まります。

伊勢美し国醸造所内でもとりわけ気になるのが飲食店のラインナップ。これから順次オープンしていくという中でも、窯焼きステーキ＆ワインのお店「伊勢 福多亭」と、ワインと伊勢のお酒を楽しめるバー「斎庭 YUNIWA」の2店が施設開業同日に営業をスタートしています。 伊勢 福多亭は、2017年から2022年、6年連続でミシュラン一つ星を獲得した「北新地 福多亭」の系列店。オリジナル炉窯の中で、南伊勢産伊勢志摩備長炭の直火と遠赤外線による輻射熱で表面は香ばしく、中はしっとりとジューシーに焼き上げるステーキは格別です。一枚板伊勢檜の重厚なカウンターで、由緒ある伊勢肉の持ち味を最大限に引き出した逸品とソムリエ厳選のワインに舌鼓を打つひと時は、まさに至福と言えるでしょう。 斎庭YUNIWAでは、店内小窓から併設する醸造所を臨むことができるのも嬉しいポイント。メニューは施設内で醸造されるワインはもちろん、伊勢ウィスキーや伊勢ジン、伊勢クラフトビール、シグネチャーカクテルがそろうほか、伊勢肉ビーフジャーキーなど地元食材を使用したおつまみも充実しています。醸造の様子を眺めながら地元のお酒と食を楽しむ非日常感が、伊勢志摩という地域への興味を一層掻き立てそうです。

2023年1月6日には料理も楽しめるワイン食堂「オステリア イルモスト」もオープンするとあって、これからますます賑わいを増す伊勢美し国醸造所。恵まれたテロワールから生まれる新たな伊勢志摩のワイン文化と美食は、これから世界へと広がっていくことでしょう。ワインを通じて伝わる伊勢志摩の魅力を感じに、ぜひ伊勢美し国醸造所に足を運んでみてください。