築150年の武家屋敷の趣を残す
穏やかな時が流れる町家ホテル
町の踊場
◆文豪ゆかりの武家屋敷をリノベーション
北陸の小京都・金沢に町屋ホテル誕生
2021年10月、浅野川に開業した町家ホテル「町の踊場」
新しい生活様式を取り入れながら、ようやく外食やレジャーなど活動の幅が広がってきました。2022年は、久々に旅行も楽しみたいですね。とはいえ、せっかくの休日に人込みやにぎやかな場所に出向くのは疲れてしまう。忙しい日常から離れて、のんびりと過ごすなら、北陸の小京都・金沢を訪ねてみてはいかがでしょうか。
ひがし茶屋街や近江町市場といったスポットからも近く、昔ながらの街並みが風情を感じさせる浅野川のほとりに、2021年10月、築150年の武家屋敷の趣きをそのまま活かした町家ホテル「町の踊場」が開業しました。金沢三文豪の一人・徳田秋聲氏の異母兄弟・正田順太郎氏の旧宅でもあり、小説『町の踊場』にもその様子が登場する、歴史あるこの建物。これまでも、シェアスペースや一棟貸しのホテルとして活用され町に溶け込み、愛されてきました。長年親しまれる、町家ならではの趣はそのままに、リノベーションにより床暖房などの設備を整え、ホテルとしての利便性や快適性を加味。上質な町家ホテルとして、新たなスタートをきったところです。
「ゆっくりと時間がとける陽だまり」をコンセプトに掲げる、町の踊場。時間を忘れて寛げる、至福の町家ステイをご紹介します。
◆庭を眺めて、温泉湯に身を浸す
プライベート感たっぷりな和の空間
客室「雲のゆくへ」。縁側から眺める庭が美しい
落ち着きのある「雲のゆくへ」の和モダンな寝室
客室は、「雲のゆくへ」と「蒼白い月」の2室。どちらの客室にも広々としたプライベートな庭があり、縁側で暖かな陽光を感じながら風の音や鳥のさえずりに耳を傾けていると、金沢の市街地にいることを忘れてしまうほど、穏やかな時間が流れていきます。
「雲のゆくへ」は、10畳いうと贅沢な広さのリビングと6畳の寝室に、ソファやローテーブルを配したモダンな和の空間。庭に面した縁側には土間もあり、室内にいながらゆったりと景色を楽しむことができます。また、8畳のリビングと6畳の寝室から成る「蒼白い月」は、温かみのある木製の家具が並び、落ち着いた雰囲気。リビングと寝室どちらにも縁側があるので、部屋のどこからでも庭を眺められるのもポイントです。
各客室の個室風呂の湯は金沢無量寺温泉から運ぶ源泉を使用しており、さらにどちらも庭を望める設えとあって、気分はまるで露天風呂。美しい景色を独り占めしながら温泉に身を浸せば、心身ともに日頃の疲れがじんわりとほぐれていくでしょう。
改修により防寒性も高まったことで、古い建物の味わいはそのままに、厳しい北陸の冬も心地よく過ごせるようになった町の踊場。夏は庭に降りて風呂上がりの夕涼み、冬は暖かい縁側で雪見酒もたまりません。ホテルのホスピタリティやサービスと、町屋ならではの懐かしさや自宅のようなプライベート感を併せ持つハイブリッドな宿なら、贅沢なおこもりステイを満喫できそうです。
温もりのある木の家具を配した客室「蒼白い月」
「蒼白い月」は、アクセントウォールも印象的
金沢無量寺温泉から運ぶ源泉を使用した個室風呂
どちらの客室にも広々としたプライベートな庭が
◆手間暇かけた絶品水出し珈琲も!
蔵カフェで味わうこだわりのメニュー
宿泊者以外も利用できる、施設内の「蔵カフェ」
食文化が豊かなことでも知られている、古都・金沢。町の踊場では、地元の食材にこだわった滋味豊かな料理も楽しみの一つです。金澤表参道にある「菜喰 安心院」による、旬を感じられる「踊場会席」コースや創業宝暦2年の老舗料亭「日本料理 つば甚」の季節弁当、ミシュラン・ビブグルマンにも選ばれた「中国菜家 桃花片」の料理など、金沢が誇る名店の味を、宿にいながら味わうことができます。朝食も「中国菜家 桃花片」の中華粥や土鍋で炊いたごはんと能登塩をはじめとしたこだわりの塩を使った「おにぎり朝食」、能登鶏卵の醬油漬けにした卵黄とメレンゲで食感までおいしい「卵かけご飯朝食」の3種から選べる仕様。どれをとっても朝から食欲がそそられ、1日のパワーもしっかり充電できそうです。
食事をとるのは、施設内にある築150年の蔵を活用した「蔵カフェ」。こちらのカフェは、宿泊者以外も利用が可能となっています。歴史を感じる空間で、蓄音機から流れる音楽に聞き入れば、まさに時間がとけていくよう。低温の水で10時間かけて抽出する、雑味がなくすっきりとした飲み口の「水出し珈琲」も、寛ぎの中で味わえば、おいしさもひとしおです。このほか、コーヒー同様に手間暇をかけてつくられたケーキもそろっているので、金沢の街歩きの際はぜひ立ち寄ってみてください。
塩にもこだわった「おにぎり朝食」
「中国菜家 桃花片」の中華粥朝食
ひと手間かけた絶品「卵かけご飯朝食」
ゆっくりと長い時間をかけて醸成された、穏やかで心地いい空気が漂う町の踊場、そして蔵カフェ。忙しい現代のビジネスパーソンにとって、時間を忘れて寛ぐことは、最高の贅沢と言えるかもしれません。時間がとける町屋ステイを楽しむ古都・金沢の旅で、また新たな一歩を踏み出す活力を養ってはいかがでしょうか。
蓄音機から流れる懐かしいメロディが時間を忘れさせる
澄み切った味わいの「水出し珈琲」が人気
町の踊場
〒920-0845 石川県金沢市瓢箪町7-6
TEL 076-208-3676 (受付時間 10:00〜17:00)
https://odoriba.net/