◆開業から110年を迎える
美しき「西の迎賓館」
創業110年を迎える奈良ホテル。歴史を感じさせる佇まい
今年2019年は、平成が終わりを迎え、新たな元号が始まる期待の年。長い歴史の中で、時代の変遷と共に、人々の暮らしや街並みなど、世の中は大きく様変わりしてきました。そうした中でも、変わることなく大切に受け継がれているものもあります。
その一つが、1909年――明治42年に創業した奈良ホテルです。奈良の雅な景色に溶け込む和洋折衷の美しい建物は、当時「西の迎賓館」と呼ばれ、多くの著名人から親しまれてきました。時代に翻弄されながらも、華やかな明治の面影やおもてなしの心はそのままに少しずつ進化し、今年の10月には創業から110年を迎えます。
6時、12時、18時の時を告げるのは、興福寺 南円堂の鐘の音。暖炉をはじめ、創業当時からの調度品や貴重な美術品に囲まれたノスタルジックな空間には、悠久の時を感じさせるようなゆったりとした時間が流れています。古都・奈良で100年を超えて愛され、今、また次世代へと大切に受け継がれようとする奈良ホテルの魅力に迫りました。
赤絨毯の大階段。格天井や和風の照明なども見どころ
「平成の大時計」など貴重な品が並ぶ本館ロビー「桜の間」
◆瓦葺き建築に豪奢な内装
当時の贅を尽くしたホテル
暖炉など、歴史を感じる本館・スタンダードツインの客室
奈良時代の雅さを意識したパークサイドデラックスツイン
奈良の景観との調和を考えられた瓦葺き建築の奈良ホテル本館。東京駅や日本銀行本店などを手がけた建築家の辰野金吾氏が建築を担当、建設は鉄道院が行い、建設費用は鹿鳴館の約2倍がかけられたと言います。内装は桃山風の意匠を施し、まさに贅を尽くしたもの。本館には奈良公園側に面したパークサイドと中庭サイド、計62室の客室があり、今なお、随所に歴史と伝統が息づいています。
大正、昭和の激動の時代を乗り越え、1984年には新館も完成。吉野建ての建築様式を採用した新館の客室は、全65室が緑豊かな中庭を臨む配置に。室内はモダンさと機能性に富み、どの部屋も本館とはまた違った贅沢な空間です。
その後、平成に入って以降も、レストランやバーの新設や結婚式用チャペルの建設のほか、調度品の修繕や建物の補強など改修を加えることで、快適性を保ち、宿泊客のニーズに応え続けている奈良ホテル。いつの時代も、建設当時からの変わらぬ華やかさと心づくしのおもてなしを提供しています。
大和文化の華やぎを表現した新館のスタンダードツイン
新館の客室は中庭に面し、森の中のような気分を味わえる
◆受け継がれる伝統の味
古の時に思いを馳せる
創業以来のメインダイニングルーム「三笠」
奈良ホテルで味わえる料理は、伝統のフレンチと本格日本料理。名画や調度品が目を引くメインダイニングルーム「三笠」は、創業以来の重厚華麗な空間が広がります。歴代の料理長から受け継がれる料理と、世界中から選りすぐったワインとのとっておきのマリアージュは、優雅なディナータイムを演出してくれるでしょう。季節ごとに色を変える奈良の街並みや生駒山を見渡せる「花菊」では、旬の食材を用いて趣向を凝らした日本料理と地酒に酔いしれる、心地よいひと時を過ごせます。
奈良の四季を楽しめる日本料理「花菊」
陽光がたっぷりと射すティーラウンジ
「ザ・バー」で銘酒やシガーを堪能
奈良の朝を代表する茶がゆを味わってみては
朝食は、洋食のプリフィクスのほか、地元では「おかいさん」として1200年にわたって親しまれている茶がゆや奈良漬けといった、ご当地ならではの和食のチョイスも可能です。薫り高い緑茶で炊いた「三笠」の茶がゆは、目覚めたばかりの心身にじんわりと染みわたるようなおいしさ。古都・奈良の食文化にも触れられる逸品と言えます。このほかドイツの最高級老舗ブランド「ロンネフェルト社」の紅茶を楽しめるティーラウンジ、キャンドルの灯りが揺らめくオールドファッションドバー「ザ・バー」など、格調高いレストランが充実。ホテルの滞在を、より思い出深いものにしてくれることは間違いありません。
周囲には寺社仏閣が多く、奈良ホテルは観光の拠点にも最適です。周囲の景色も相まって、タイムスリップをしたような気分が味わえるのも、110年の歴史を持つクラシックホテルの醍醐味でしょう。明治、大正、昭和、平成、そして次の時代へと受け継がれる奈良ホテル。移り行く時の中で、少し足を止めて、古の時に思いを馳せてはいかがでしょうか。
奈良ホテル
〒630-8301 奈良市高畑町1096
TEL 0742-26-3300(代表)
http://www.narahotel.co.jp